生殖医療

不妊症と生殖医療

不妊症とは1年間避妊をせずに性生活を試みても妊娠に至らない状態のことで、日本では全体の10%に認められます。不妊について心配したことのあるカップルは2002年の26.1%から、2010年には31.1%と徐々に増加しており、結婚生活が5~9年続いているカップルに多く見られます。

不妊の原因は、男性因子が約35%、女性因子が約40%、どちらにも原因がある場合が約15%で、割合をみると男女ともにその原因は同等であると言えます。

不妊の原因を取り除き、出産まで導くのが生殖医療です。一般不妊治療や人工授精などの体内での受精を促す方法や、卵巣から採取した卵子を体外で受精させ、その胚を凍結保存したり、体内に戻して妊娠を試みる生殖補助医療(ART)などがあり、これらに携わる医療スタッフによって研究され、生殖医療は飛躍的に進化してきました。

少子化が進む先進国にとって、今や生殖医療は無くてはならない分野となり、世界中で研究が進められています。

不妊について心配したことのある夫婦の割合
不妊について心配したことのある夫婦の割合

生殖医療の現状とこれから

日本の生殖医療の歴史は、1983年に体外受精が開始されたのを皮切りに、凍結・融解肺移植が1988年、顕微授精が1993年に開始され、医療技術や機器の進化によって2013年には42,554人が生殖補助医療(ART)により出生するまでになりました。

また、体外受精が開始されたころは体外受精児を試験管ベビーと言われ、生殖医療に対して懐疑的で風当たりの強い時代でした。そのような逆風の中、少子化問題や一般不妊治療に行き詰る夫婦の増加、治療費の低減などにより、徐々に生殖医療への理解が増して2012年ではARTの実施数が366,156周期にまで増加しています。

このように急速に進化を遂げるART治療技術ですが、年々初産平均年齢が高齢化し2012年に30歳を超えた状況は、年齢が妊孕性に大きく関係する産科・生殖医療にとって大きな問題で、今後さらにART治療を行うカップルが増加すると予想できます。そこで生殖医療に携わる私たちにとって、生殖医療がすべての方にもっと身近になるような環境作りと、妊孕性が低下した女性の治療法を改良し出生数、生産率を上げていくことがこれからの課題だと考えています。

ARTによる出生時数の年次推移
ARTによる出生時数の年次推移
ART実施周期数の年次推移
ART実施周期数の年次推移
母の出生時平均年齢
母の出生時平均年齢