不妊治療用語集

生殖医療を理解するためのカテゴリー別用語集

体外受精(ART)の準備

ARTの基礎知識

配偶子卵管内移植(GIFT)

配偶子卵管内移植(GIFT)とは、体外で精子と卵子を混ぜ合わせ、受精する前の状態で卵管の先に戻す方法をいいます。卵子と精子が自然な環境に近い卵管内で受精し、発育胚となるため、高い成功率が報告されています。

配偶子卵管内移植(GIFT)は腹腔鏡下で行われることが多いですが、ミニラパラトミーという小開腹法でも可能な施設もあります。受精は体内で行われるGIFTに対して、1日培養して受精後に卵管に戻す方法を胚卵管内移植(ZIFT)といいます。

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生殖補助医療(ART)

妊娠を促す目的で卵子と精子の双方あるいは、胚をin vitro(体外)で操作する処置あるいは治療法のことをいいます。

この中には、IVF-ETに制限せず、ICSI、GIFT、ZIFT、配偶子と胚の凍結保存、卵あるいは胚の提供、さらには代理母出産なども含まれます。

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接合子卵管内移植法(ZIFT)

受精卵(前核期胚:接合子)を卵管内に移植する方法のことをいいます。

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体外受精(IVF)

女性から卵子を採取(採卵)し、精子と合わせて受精させることです。両側卵管閉塞、重度の子宮内膜症、男性不妊、免疫性不妊(抗精子抗体陽性)、また原因不明だが一般不妊治療で妊娠しない、などが適応になります。

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体外受精-胚移植(IVF-ET)

卵子と精子を体外に取り出して受精させ、受精卵(胚)を子宮腔に移植する一連の操作を言います。採卵数を増やす目的で、通常は排卵誘発が行われます。

移植胚数は、日本産婦人科学会の規定により、多胎防止のため35歳未満の初回と2回目の胚移植は1個、それ以外は最大2個までの移植とされています。

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配偶子卵管内移植法(GIFT)

卵管内に精子と卵子(配偶子)を同時に移植する方法のことをいいます。

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ART

妊娠を促す目的で卵子と精子の双方あるいは、胚をin vitro(体外)で操作する処置あるいは治療法のことをいいます。

この中には、IVF-ETに制限せず、ICSI、GIFT、ZIFT、配偶子と胚の凍結保存、卵あるいは胚の提供、さらには代理母出産なども含まれる。

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ARTの手順

調節卵巣過剰刺激

ショート法(Short protocol)

卵胞刺激方法の1つです。卵巣機能が低下した人や、高齢者に対して多くの卵を得るために行われます。月経開始日からGn-RH analogue製剤(点鼻薬である、スプレキュア、ナサニール、ブセレキュアなどを使用します。)を開始し、月経3~4日目からHMG製剤の投与を開始し、卵胞を発育させます。

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スプレキュア点鼻液

スプレキュアとは、視床下部に働きかけることで脳下垂体ホルモンの分泌を抑制する点鼻薬です。似た薬にナサニールがあります。ナサニール、スプレキュアとは商品名を指し、これらの薬をまとめて「GnRHアゴニスト」と呼んでいます。

GnRHとは「ゴナドトロピン放出ホルモン」のことで、このホルモンが分泌されると、脳下垂体ホルモンのFSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体化ホルモン)が作用して、卵巣内の「卵」が成長して排卵します。

体外受精では全ての卵の成長をコントロールしたいので、卵が気まぐれに大きくなったり排卵したりしては困るのです。そこでスプレキュアを使うことで、下垂体ホルモンの分泌を抑制して人為的に卵を熟成させていくのです。

一般的な体外受精にはロング法とショート法がありますが、両者の違いはGnRHアゴニストの使用期間になります。ロング法では前周期の黄体期半ばから、ショート法では月経が開始されてからGnRHアゴニストを連続で使用します。

またスプレキュアには短期で使うことで、排卵を促す効果があります。これはスプレキュアの「フレアーアップ」というLHとFSHの急激な上昇を利用したもので、HCG注射の代用として体外受精以外の周期でも使用されることがあります。

スプレキュアの副作用は、頭痛や下腹部痛、不正出血などがあげられます。しかし副作用は一時的なことが多く、比較的使いやすい薬とされています。またスプレキュアを上手に点鼻できないこともありますがこれも「慣れ」が関係するようです。

スプレキュアは子宮内膜症や子宮筋腫の治療にも使われます。下垂体ホルモン、卵巣ホルモンの分泌を抑制することで、あたかも閉経したような状態を作るのです。(偽閉経療法)

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GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)

GnRHとは、視床下部から分泌されるホルモンで、下垂体からゴナドトロピン(LHとFSH)の分泌を促します。この分泌経路に異常があることを「視床下部性排卵障害」と呼んでいて、クロミフェン療法が第1選択の治療となります。

女性が排卵するまでの順序は、視床下部(間脳)から下垂体に働きかけ、そして下垂体が性腺刺激ホルモンを分泌することで、今度は卵巣に働きかけます。そして刺激を受けた卵巣が、エストロゲンやプロゲステロンの分泌を始めるのです。

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GnRHアゴニスト(GnRHa)

GnRHアゴニストとは、体外受精(IVF)の際に卵の成長をコントロールするための点鼻薬です。商品名はスプレキュア、ナサニール。GnRHアゴニストは視床下部に働きかけることで、GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)の分泌を抑えて、卵子の気まぐれな成長や排卵を抑える効果があります。

一般的な体外受精にはロング法とショート法がありますが、両者の違いはGnRHアゴニストの使用期間になります。ロング法では前周期の黄体期半ばから、ショート法では月経が開始されてからGnRHアゴニストを使用します。

またGnRHアゴニストには短期で使うことで、排卵を促す効果があります。これはGnRHアゴニストの「フレアーアップ」というLHとFSHの急激な上昇を利用したもので、HCG注射の代用として体外受精以外の周期でも使用されることがあります。

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GnRHアンタゴニスト(セトロタイド)

GnRHアンタゴニストとは、体外受精(IVF)周期で使われる薬で、脳下垂体から分泌される「ゴナドトロピン(LHとFSH)」を抑制するために使われます。GnRHアンタゴニストを使うことで、LHサージを抑えて気まぐれに排卵してしまうのを防ぎます。

体外受精では、卵の熟成から採卵まですべてコントロールして行われます。そのため気まぐれにLHサージが起こったり排卵してしまっては困るのです。

GnRHアンタゴニスト(セトロタイド)は2006年の秋に発売された薬です。それまでは「GnRHアゴニスト」という、スプレータイプの点鼻薬(スプレキュア、ナサニールなど)が使われていました。

「GnRHアンタゴニスト」と「GnRHアゴニスト」の大きな違いは、その効果の持続時間にあります。GnRHアンタゴニストは皮下注射薬で痛みを伴いますが、効能の持続時間が約30時間あります。

それに比べてGnRHアゴニストでは、スプレータイプではありますが、効能が8時間程度しかありません。そのため「1日3回使用」というわずらわしさがあるのです。そしてGnRHアンタゴニストは、その効果がすぐに現れるために、GnRHアゴニストのように長い期間投与する必要がありません。GnRHアンタゴニストは、「下垂体の回復が早い」「HMGの投与量が少なくOHSSの発症が少ない」「卵巣刺激にかかる総費用が安い」などのメリットがあります。

GnRHアンタゴニストは発育卵胞数を調節できる可能性もあり、今後にも体外受精で使われる薬の主流となると考える専門家が多いようです。

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フレンドリー(Friendly)IVF

従来の調節過剰卵巣刺激にかわり、自然周期や、クロミフェンやアロマターゼ阻害剤周期に適度のhMG 製剤を使用して行う体外受精のことです。OHSSの発生頻度も低下し、良好胚を得られるとされています。

卵巣機能の低下した若い女性に対しては有効な治療法ですが、高齢女性の排卵誘発法としてはあまりお勧めできる方法ではありません。

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ロング法(Long protocol)

卵巣刺激法の1つで、採卵を行う前の月経周期の高温相になってからGnRH-analogue製剤(スプレキュア、ナサニール、プセレキュア)の使用を開始し、下垂体から分泌するFSH、LHのホルモンの抑制をはかります。そして、月経周期3~6日目からHMG製剤を使用し、卵胞を発育させます。

この方法は、スタンダードな方法であり、様々な施設で多用されています。

HMG 製剤の使用開始日を患者さんの希望で設定できるため、採卵日をある程度コントロールすることが可能です。

また、卵胞も均一に発育してくるため、成熟卵を均一に採取することが可能です。

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Antagonist法

GnRH-analogueを全く用いずに、Stimulationを行う方法です。この方法は当院ではARTの初回クールには基本的には用いません。理由は、卵胞発育において発育卵胞の径が均一せずバラついてしまうことが多いからです。Long protocol 法では胚の質が不良である症例、重度の多嚢胞性卵巣症候群でLong protocol法だと重症OHSSが予測される症例が適応となります。

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Minimal Stimulation法

以前より自然周期による採卵、またはクロミッド周期による採卵、Clomid-HMG周期により採卵するという方法は報告されていました。この方法はOHSSのriskがなく、Friendly IVF(身体にやさしい方法)とのキャッチフレーズで一部の不妊施設で用いられていますが、具体的、臨床データの報告がなく、その治療は疑問視されていました。

Hum Reprod.2006 Sep,21(9)2375-2383では、Minimal Stimulation法によるIVFの成績は、1回あたりの継続妊娠率は8.3%、3回までの累積妊娠率は20.8%であると報告されています。2002年のヨーロッパにおける採卵あたりのIVFの臨床的妊娠率は26.0%であるので、この排卵誘発法はコストパフォーマンスからみても、第一選択となるとは言えません。

しかしShort protocol法でも卵胞発育を認めない卵巣機能が低下した比較的若い女性に対しては、この方法は有効であるとの報告がありました。

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採卵

採卵

体外受精や顕微授精などの時に、卵子を採取することです。経腟超音波下で十分に発育した卵胞に針を刺し、卵胞の中にある卵胞液と卵子を吸引して行います。

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精子選別、媒精

スイムアップ法(AIH)

スイムアップ法とは、人工授精において採取した精子の中から、質の高いものだけを集める方法です。「遠心分離法」で選ばれた精子に培養液を加えて、上澄みに浮遊した良好な精子を採取する方法です。スイムアップ法は精子の運動率を高める効果がありますが、精子の総数を減らしてしまうという欠点もあります。

人工授精にはスイムアップ法の他にも、遠心分離法、精液静置法やパーコール法、精子洗浄濃縮法などがありますが、スイムアップ法がもっとも多くの病院で使われているようです。(上記の言葉をスイムアップ法と同じ意味で使われることもある)

なお人工授精(AIH)とは、排卵日に合わせて夫の精子を注入器で子宮の奥に送り込ませる方法です。人工授精は一般的にはタイミング療法で妊娠しなかったときに、次のステップとして考えられています。

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胚培養

接合子

卵と精子が受精し得られた細胞で、その後分割し胚に至ります。

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受精後、接合子が分裂を開始して得られた産出物で、妊娠8週の胎生期までのものです。なお、この定義に単為発生や体細胞の核移植によって発生したものは含まれません。

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胚盤胞(Blastocyst)

胞胚とも呼ばれ、受精してから4~5日目の受精卵では、この状態になっているのが理想とされています。この時期になると、将来胎児になる細胞群と胎盤になる細胞群に分れています。

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胚移植

二段階胚移植

2000年に一度医学的に否定された方法ですが、(Fertil Steril 2000;74:936-940)日本において有効であるとされ、再度復活した技術です。

現在この方法に関しては、実施する施設は限られています。

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胚移植(ET)

体外受精や顕微授精によってできた受精卵(胚)を子宮に戻すことです。

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胚盤胞移植(Blastocyst Transfer)

体外受精や顕微授精の後に受精卵を5~6日間培養し、着床直前の段階(胚盤胞)まで発生したことを確認してから胚移植を行う方法です。採卵後2~3日目の形態良好胚を何度戻しても妊娠しない場合に、最終段階まで胚が発生するかを確認し、さらに子宮内膜と胚の発育段階を合わせ、着床環境を整える目的で行われています。通常は1~2個を胚移植し、多胎予防の目的でも行われています。

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着床

着床

受精後5~7日に認められる透明帯から脱出した胚盤胞が子宮内膜に接着し、さらに侵入することを着床と呼びます。

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着床障害

着床障害とは、受精してから着床までの過程に不妊の原因があることです。通常、排卵後の子宮内膜は着床しやすいように増殖し、胚(受精卵)を受容する時期があります。(implantation window)

しかし内膜の増殖不全や接着因子などで、着床することが阻害されてしまうことがあり、これを着床障害と言います。また受精が成立しても免疫異常のために科学的流産を引き起こすこともあります。

着床障害は子宮内膜の厚さとも関係していて、排卵から黄体期にかけて子宮内膜の厚さが「6mm以下」では妊娠の継続が難しく、着床障害、あるいは黄体機能不全と診断されるでしょう。

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ARTの臨床結果

着床率

認められた胎嚢の数を移植した胚の数で割った値を着床率といいます。

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分娩率

100 開始周期、採卵周期あるいは胚移植周期当りの分娩数です。分娩率を示すときには開始周期、採卵周期あるいは移植周期のいずれかを分母として示す必要があります。分娩率には1児以上の生児出産あるいは死産を含みます。単胎妊娠、双胎妊娠あるいは高次多胎妊娠などの分娩は1例として計算します。

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臨床的妊娠

超音波診断で1個以上の胎嚢が確認されるか、確実に臨床的な妊娠の徴候が認められたものを臨床的妊娠と呼びます。その中には子宮外妊娠も含まれます。多胎妊娠の場合には1例の臨床的妊娠とみなします。

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臨床的妊娠率

100例当りの治療開始周期、採卵周期あるいは胚移植周期当りの臨床的妊娠数と定義されます。臨床的妊娠率を示す場合には、開始周期当り、採卵周期当りあるいは胚移植周期当りを明記しなければなりません。

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ARTを理解するために必要な用語

卵巣の反応性、卵巣予備能

早発卵巣機能不全(POF)

40歳以前に卵胞が消失し、閉経してしまうことです。血中LH、FSHが高値となります。

最近では抗ミュラー管ホルモン(AMH)を測定することで正確に判定することが可能となりました。

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卵巣機能低下症

卵巣機能低下症とは、卵巣の活力がなくなり排卵する事が少なくなり若くして閉経してしまうことです。卵巣の機能が低下しても、卵巣に卵胞が残っている場合は、治療によって排卵を誘発する事が可能な事があります。

卵巣機能低下症は早発卵巣不全とも呼ばれ、症状は無月経、稀発月経(月経周期が長いこと)があげられます。卵巣機能低下症の原因は不明ですが、卵胞ホルモン(エストロゲン)などの女性ホルモンの分泌低下が1つの理由です。

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卵胞発育不全

卵胞発育不全とは、女性ホルモンのエストロゲンやFSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌低下により、卵胞の成熟に障害があることです。黄体機能不全の原因となります。

卵は「排卵さえすればいい」というものではなく、卵の質がいいほど妊娠を継続するチャンスがあります。卵胞の発育がよいほど、受精する確率を上げ、流産の確率を減らし、また黄体ホルモンの分泌を助けます。

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AMH(抗ミュラー管ホルモン)

AMHは、もともと精巣中に存在しミュラー管の退縮を促す物質として同定されました。

1986年にクローニングされると、AMHはTGF-ßスーパーファミリーに属する140kDaのホモダイマー糖タンパクであることが明らかとなりました。

女性においては出生後の一次~前胞状卵胞、小胞状卵胞の顆粒膜細胞で産生されますが、AMHの機能はDurlingerらのノックアウトマウスを用いた研究により、その概要が明らかとなっています。

ノックアウトマウスでは、原始卵胞の消失速度が速く、前胞状卵胞および小卵状卵胞数が増加しており、FSH刺激による卵胞発育も亢進しています。すなわち一次卵胞、前胞状卵胞、小胞状卵胞で産生されたAMHは、原始卵胞のリクルートメントと胞状卵胞以降のゴナドトロピン依存性の卵胞発育を抑制するという作用を有し、二重に卵胞の枯渇を防ぐメカニズムであるということができます。

de Vet et al.は、正常排卵周期を有する女性で、血清AMHは加齢とともに減少し、胞状卵胞数と年齢に良く相関することを、Seifer et al.は、採卵数6個以下と11個以上の群で、血清AMHに有意差があったことを、それぞれ報告しています。このAMHを測定することで、卵巣にあと卵子がどのくらい残存しているかを正確に知ることができるようになりました。AMHの測定は、血液検査で簡単に測定できますが、まだ日本では保険診療が認められていません。

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AMH検査

AMHの数値は卵巣内にどのくらいの卵の数が残っているか(卵巣予備能力)を反映することから、不妊治療選択の目安や閉経年齢の予測などに使用されています。

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受精と受精障害

受精

精子が卵子内に進入し、母親の遺伝子と父親の遺伝子が融合することです。

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受精障害

精子の数が少ない、運動率が悪い、先体反応が起こらない場合などが原因となり、受精がうまくいかないことです。顕微授精の適応となります。

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受精卵

受精が完了した卵子のことです。

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精子膨化試験

精子膨化試験とは、男性の精子を調べるための方法で、一般精液検査で問題があるときなどに行われる特殊な検査(精子機能検査)の1つです。精子に低浸透圧負荷をかけることで、精子の尻尾の部分に見られる膨化の程度を観察する方法です。

精子膨化試験後に、精子尾部全体が大きく膨化しているものほど細胞膜が無傷で精子機能が良好だと考えられています。精子膨化試験の測定方法や判断基準には施設によって違いがありますが、簡単かつ短時間で結果が測定できるという利点があります。

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精子無力症

精子運動率が半分以下をいいます。または直進する精子が25%未満です。

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ハムスターテスト(ZSPT)

ハムスターテストとは、ハムスターの卵子に人間の精子が侵入していくかを調べる検査です。一般精液検査で問題があるときなどに行われる特殊な検査(精子機能検査)の1つです。

ある条件を備えた精子(*1)は、透明帯を除去したハムスターの卵子に侵入することが発見されて、その原理を利用して精子の受精能を調べる方法が見つかりました。この方法こそがハムスターテストで、数ある特殊な精液検査の中でも最も受精能に反映すると考えられています。

(*1)精子は射精された直後から受精が可能になるわけではありません。子宮や卵管の移動中に「先体反応」が起こり、受精の準備が整うわけです。ここでいうある条件とは、受精能獲得および先体反応を終了した精子のこと。

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卵巣過剰刺激症候群

コースティング(Coasting)法

卵胞誘発の過程で、多数の卵胞ができて血中ホルモン(E2)値が上昇した場合、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になる危険を回避するため、一時的にHMG製剤の注射を中止し、卵胞が一部閉鎖して血中ホルモン(E2)値が2000ぐらいに下がってから採卵や人工授精などを行います。

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卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

排卵誘発剤の使用によって起こる副作用の1つです。腹部の膨満感、卵巣の腫大、呼吸器症状、血液濃縮および代謝異常の程度に応じ軽症、中等症、重症に分けられます。重症になると入院が必要になります。妊娠すると重症化するケースもあります。

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不妊治療と多胎妊娠

高次多胎

3胎以上の児を有する妊娠を高次多胎妊娠、3人以上の出生児をみるものを高次多胎分娩と呼びます。

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多胎妊娠/多胎出産

2児以上の胎児を有する出産あるいは2児以上の新生児の出産を多胎妊娠あるいは多胎出産と呼びます。

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胚/胎児減数手術

多胎妊娠において生存している胚や胎児の数を減少させる処置です。

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ARTに伴う妊娠合併症

胎嚢喪失あるいは胎児喪失

超音波診断で継続妊娠と診断された例における1個あるいは複数の胎嚢あるいは胎児の自然喪失をみたものと定義されます。

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ART関連事項/一般

アクロビーズテスト:精子先体反応検査法

アクロビーズテストとは、男性の精子を調べるための特殊な検査の一つです。精子は子宮や卵管の移動中や培養液中に置いておく過程で「先体反応」と呼ばれる現象が起こり、受精の準備が整います。

アクロビーズテストとは、精子先体に「先体反応」が起こる状態を調べる検査です。試薬の中のビーズを精子先体と結合する物質「MH61」でコーティングしてあり、精子を添加すると先体反応を起こした精子のみがビーズが結合して凝集します。

アクロビーズテストで結合が良好だと、体外受精における受精率が高いことが報告されていますが、最近では、受精障害には顕微授精という選択肢もあり、この検査が臨床の場で用いられることはあまりありません。

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ARTに用いられる特殊な技術と対応

ARTと顕微操作

アシスティッドハッチング:透明帯切開/菲薄化法

胚移植の前に胚の周りを覆っている透明帯を酸性の薬品、機械的方法あるいはレーザーなどを用いて、菲薄化させたり穴を開け、透明帯から胚の脱出を助けて着床率を上げる方法のことです。透明帯が硬いあるいは厚い場合に用いることがあります。反復着床障害、凍結融解胚移植、高齢女性などに用いることがありますが、その有用性に関してはいろいろな報告があり一定していません。不妊クリニックでも反復着床障害などに限って行う施設や多くの例に用いる施設があります。

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顕微授精(卵細胞質内精子注入法:ICSI)

顕微鏡下で髪の毛よりも細いガラス管を使って、1個の卵子の中に1個の精子を直接注入する方法です。体外受精で受精しない場合や、男性不妊で体外受精では受精が難しい場合に行う方法です。極少数の精子にて受精・妊娠させることが可能です。

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精子生検

生検とは、針などで組織の1部を採取して顕微鏡で検査する方法です。超音波画像と違い、直接観察できるので確実な検査法とされています。

精巣生検とは、無精子症が疑われるときに精巣内で精子が作られているか、精子が存在しているかを調べる生検です。精巣内の組織を採取して、精子、または後期精子細胞が存在する凍結保存により、顕微授精(ICSI)が可能となります。

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microTESE

顕微鏡下で精巣の一部を採取し、その中に含まれる精子を採取する方法をmicroTESEと呼びます。

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TESE-ICSI

無精子症の患者の精巣より、外科的に回収した精子を用いて、顕微授精することです。

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精巣精子とその採取法

経皮的精巣上体精子吸引法(PESA)

経皮的に精巣上体を穿刺し精子を吸引採取する方法です。

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未熟卵と体外成熟

体外培養-体外受精(IVM-IVF)

スプレキュアやHMG製剤を使用せず、自然周期の7日~10日目で直径7~10mmの卵胞を吸引し、未熟な卵を体外で受精可能なまでに培養していく方法です。かつて重篤なOHSSを起こした人や、PCO(多嚢胞性卵巣)などの症例のOHSS予防として行う方法です。

未熟な卵を体外成熟させた場合、異常な卵が多いとの報告があり、この方法で治療を行っている施設は少ないと思われます。

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未成熟卵体外培養法(In Vitro Maturation:IVM)

未成熟の卵子を体外で成熟させる方法のことをいいます。

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第三者が関わるART

卵子提供:卵巣性不妊、早発閉経

手術によって卵巣の摘出を受けた人や早期に閉経に至った早発閉経のに至った女性が他の人から卵子を提供してもらい、夫の精子で体外受精し、受精卵を妻の子宮に移植する方法です。

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代理出産

何らかの原因で卵巣や子宮がなく、自分で妊娠することが不可能な場合に他の女性に出産してもらうこと。 です。

代理出産には、

  • ホストマザー:夫婦の受精卵を他の女性の子宮に移植し、出産すること。
  • サロゲートマザー:夫の精子を他の女性に人工授精して出産すること。
の2種類があります。

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卵子/精子/胚凍結保存

凍結保存技術

ガラス化法(Vitrification)

胚、卵子凍結法の種類で、超急速凍結法のことです。従来から広く用いられている緩慢凍結法に対し短時間で行うことができ、また細胞内氷晶(これにより細胞はダメージを受ける)による障害が少ないとされています。高い生存率と再現性を有する可能性を持つ凍結保存法です。

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凍結保存

体外受精や顕微授精によってできた受精卵を凍結後、液体窒素の中で保存する方法のことです。胚移植後の余剰胚の有効利用や卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防、着床率、妊娠率の向上などに利用されています。その他、卵子、精子の凍結保存も可能です。

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ビトリフィケーション

溶媒の中でガラス様の固形状態を生み出し氷晶形成を阻止する超高速凍結保存法と定義されます。

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一般不妊に対する検査と治療

不妊検査

基礎体温(BBT)

基礎体温は、人間が生きていく上で必要とするエネルギーを消費している時(基礎レベルエネルギー消費時)に発生する体温のことです。朝、起床する前に床の中で婦人体温計を舌の下に入れて測定します。これを毎日チェックし、表にしたものが基礎体温表です。これにより、排卵日の予測や黄体機能不全の有無を知ることができます。

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抗精子抗体

精子に附着し、精子を動かなくしてしまう抗体のことです。抗精子抗体が強陽性の場合は、体外受精の適応となります。検査は現在のところ保険適応外になっています。

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子宮卵管造影検査

造影剤を子宮頚管の入り口から注入して卵管の通過性、子宮内腔や卵管の形、卵管采周囲癒着の程度を知ることができるレントゲン撮影検査です。

不妊検査の必須検査の中の1つです。

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精液検査

男性に対して行われる検査で、精液量、精子数、運動率、奇形率などを調べる検査です。現在、不妊の原因は男女共に1:1といわれているため、男性の検査も重要となっています。3~5日間の禁欲期間が望ましいと考えられています。

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フーナーテスト(性交後検査)

夫婦間適合性検査で、排卵日前に夫婦生活をもち、性交後数時間してから、頚管粘液中にどの程度精子が存在するか、また運動しているかを調べる検査のことです。

これは、排卵日付近で夫婦生活を持つため、検査だけでなく治療もかねています。

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卵管疎通性検査

卵管の通りを診る検査で、通気、通水、子宮卵管エコー検査、子宮卵管造影検査(HSG)などがあります。様々な検査法がありますが、子宮卵管造影検査が最も精度が高く、卵管の疎通性だけでなく、子宮腔や卵管の形状、卵管采周囲の癒着の程度を知ることができます。

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卵管通気検査

卵管通気検査とは、不妊治療の1つで卵管のつまりや癒着を調べる検査です。子宮口から二酸化炭素をカテーテルで送り込んで卵管の通り(子宮口~卵管采~腹腔内の流出)を調べます。

卵管の通りを調べる検査には「子宮卵管造影検査」が一般的ですが、X線設備がないところでは卵管通気検査や卵管通水検査が行われることが多いようです。

卵管通気検査は、X線設備が不要であることから小さなクリニックでも簡単に導入が出来る反面、細かい部分がわかりにくいという欠点があります。

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卵管通水検査

卵管通水検査とは、子宮口からホルモン剤を交えた食塩水をカテーテルで送り込んで、水圧の変化等から卵管の通過性を検査する方法です。

卵管のつまり具合を知るの正確性は子宮卵管造影検査と比べると低いですが、この検査で簡単な癒着をとる効果が期待できます。

卵管通水検査は、X線設備が不要であることから小さなクリニックでも簡単に導入が出来る反面、細かい部分がわかりにくいという欠点があります。

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LHカラー(尿中)

排卵時にLHホルモンが放出(サージ)されることから、尿テストで、排卵日を推定できます。

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LHサージ

LHサージとは、排卵直前に黄体形成ホルモン(LH)が大量に分泌されることです。多少個人差がありますがLHサージがあってから24~36時間後に排卵が起こります。

卵巣内の卵胞は成熟してくると、自らエストロゲンを分泌するようになります。そしてこの多量に分泌されたエストロゲンによって、脳下垂体が刺激されてLHの放出を促すのです。

LHサージの「サージ」とは大きな波のことで、この現象によって排卵を引き起こされます。なおLHサージが起こるのは卵胞の大きさが20mm前後となります。LHサージを判断する方法として、排卵検査薬があります。

黄体形成ホルモン(LH)とは、脳下垂体前葉から分泌されるホルモンのことです。

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LH-RH負荷試験(LH-RHテスト)

LH-RH負荷試験とは、排卵障害や無月経などの内分泌異常を調べる検査です。下垂体から分泌されるゴナドトロピン(LH:黄体化ホルモン、FSH:卵胞刺激ホルモン)の数値とバランスを調べます。

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不妊治療

過排卵刺激

過排卵刺激とは、排卵している人に強力な排卵誘発剤を使って卵をたくさん成熟させる方法です。原因不明の不妊治療に効果があると言われ、また体外受精のときに卵子をたくさん摂取したい場合にも使われます。

過排卵刺激は、もっとも妊娠率の上がる治療法ですが、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)や多胎妊娠などの副作用が高いことからリスクを伴う治療法といえます。

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一般不妊治療:タイミングを図る方法、ホルモン療法、人工授精など

一般不妊治療とは従来から行われている不妊治療で性交のタイミングを図る方法、卵巣刺激による過排卵刺激法、人工授精、その他の薬物療法でなどで妊娠の成立を促す治療のことで、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療が導入される前からの不妊治療のことです。

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タイミング指導(療法)

基礎体温、超音波による卵胞径の計測、頚管粘液検査、尿中LH値などにより、排卵を予測して、性交のタイミングを指導する方法のことです。

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hMG-hCG(ゴナドトロピン療法)

hMG-hCG療法(ゴナドトロピン療法)とは、卵胞期(排卵前)にhMG注射することで卵胞を育てて、卵胞が大きくなったらhCG注射して卵を排卵させる治療法です。排卵障害、第2度無月経を対象とした強力な排卵誘発法。

無月経の治療(排卵誘発)をするには、経口のクロミフェン療法(クロミッド)がありますが、クロミフェンがうまく効かない人や、あるいは反応はあるものの周期を繰り返しても妊娠に至らないケースで、「hMG-hCG療法(ゴナドトロピン療法)」が選択肢となります。

hMG-hCGの副作用には、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)と多胎妊娠が多いことがあげられます。OHSSの発症頻度は10%~20%程度、多胎妊娠の確率は20%程度といわれています。

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男性不妊

陰嚢:雄性外性器

陰嚢とは精巣を包む外性器のことで、発生学的には女性の大陰唇にあたります。男性の外性器は陰茎と陰嚢、内性器は精嚢、前立腺、精巣上体、精管、精巣(以前は睾丸と呼ばれた)などを視診、触診していきます。陰嚢の触診では、精巣の位置異常の有無、大きさ、硬さを調べます。また精索静脈瘤の状態を調べるのに陰嚢皮膚温度測定があります。

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奇形精子症

奇形精子症とは、正常形態精子が15%未満の場合を言います。1999年にWHOによる精子正常形態率の基準値が変更される前は、正常形態精子が30%未満の場合を奇形精子症としていました。

一般的に男性不妊では精液所見によって治療法を決定していきますが、精液を清浄したあとに運動精子数が200万以上の場合に人工授精(AIH)、50万~20万では体外受精(IVF)、50万未満が顕微授精(ICSI)の適応といわれています。

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逆行性射精

逆行性射精とは、精液が外に射精できないで、膀胱に向かって逆流してしまうことです。前立腺の治療を受けた人が逆行性射精になることが多いようです。

逆行性射精は射精時に内尿道口が閉鎖不全を起こして、後部尿道に排出された精液が膀胱に逆流してしまう疾患です。1部の精子が膀胱に逆流する不完全逆行性射精と、全ての精液が逆流する完全逆行性射精とがあります。

逆行性射精の原因は、経尿道的前立腺切除術後、骨盤腔内手術、糖尿病性神経障害、脊髄損傷などがありますが、原因不明の場合も多いようです。

逆行性射精の治療は、夜尿症の治療薬のイミプラミン(トフラニール)を使用するか、膀胱内の精子を回収して人工授精か体外受精、顕微授精を行います。

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射精不全

射精不全とは、男性が女性の腟内に射精できない状態を言います。挿入は出来ても途中で柔らかくなってしまうなど腟内に射精できないこと。

射精不全は精神的な影響が大きいと考えられていて、排卵日付近の体調やムードを無視した義務的な性交、精神的なマンネリ感や過去の性交の失敗などが原因とされています。また加齢による性欲の減少も大きく影響しています。

ED(勃起不全)、性交障害、射精障害など性交がうまくできないことを性機能障害と言います。

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精索静脈瘤

精子を運ぶ管である精管の周りの静脈が拡張し、瘤(こぶ)のような状態になる病気で、精巣からの血液の還流が傷害されると同時に、静脈を逆流した有害物質が精巣に運ばれ、精子をつくる能力が悪化します。左側の精巣に比較的多く起こります。

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精子生存試験(サバイバルテスト)

精子生存試験とは、男性の精子の状態を調べるための方法で、培養液中の精子が「どれだけ長い時間元気でいられるか?」を調べる検査です。一般精液検査で問題があるときなどに行われる特殊な検査(精子機能検査)の1つです。

精子生存試験では「スイムアップ(swim-up)」させた精子を、24時間以上培養していきます。36時間以上「運動能力」に低下が見られなければ(陽性)、自然妊娠が十分に可能だと考えられています。

36時間で精子の運動能力が落ちた(陰性)場合は、受精能獲得や先体反応が起こらない可能性があり、人工授精や体外受精が適応になります。

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精子減少症

精子が少ない症状です。精子の正常値は、WHOの診断基準では;精液2.0ml以上、数2000万/ml以上、運動率50%以上、奇形率70%以下、白血球100万/ml以下となっています。

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精巣

陰嚢内にある左右1対の卵円形をした器官のことです。精巣では精子がつくられています。

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精巣内精子回収法(TESE)

無精子症の場合に行われる外科的な手術で、精巣組織を一部回収し、その中から精子を採取する方法です。これで得られる精子は少ないため、主に顕微授精を用いて妊娠をはかります。

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先体反応

受精する際、精子が卵子の周りにある透明帯を通過する時に精子頭部の先体と呼ばれる部分の外側の膜が破れ、酵素(アクロシンなど)を放出する現象のことです。この先体反応を起こす精子でないと、体外受精までの方法では受精しないので、先体反応を起こさない精子では、顕微授精を行う必要があります。

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造精機能不全

精子の数が少ない、動きが悪いなど、精子を造る機能に障害がある状態のことです。

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男性不妊

男性側に不妊症の原因がある場合のことです。

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膿精液症

膿精液症とは、男性の精液に白血球が混じってしまう病気です。精子無力症を引き起こすこともあり、体外受精でも受精しないこともあります。膿精液症の大きな原因は前立腺炎と考えられています。

膿精液症と妊孕性の関係にはいろいろな報告があり、はっきりとはしていません。膿精液症例では、精液量、精子濃度、精子運動率に大きな低下が見られることもありますが、まったく差はないという報告もあるからです。

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非閉塞性無精子症

精子の通り路は通っていますが、精巣内の精子をつくる造精機能に何らかの問題があり、精液中に精子が認められない状態のことをいいます。原因は様々ですが、一部にはクラインフェルター症候群(XXY症候群)など染色体異常の人に見ることができます。クラインフェルター症候群は、男性1000人に1人の割合で存在するといわれています。

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閉塞性無精子症

精巣には精子をつくる造精機能はありますが、精巣からの精子の通路が閉塞している状態のことをいいます。原因には、生まれつき精管が欠損している精管欠損症や避妊のためのパイプカット(精管の結紮術)、また幼児や小児の時に鼠径ヘルニアの手術にて精管が閉塞してしまったケース、両側精巣上体炎などが上げられます。

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乏精子症

精子数が1ml 中に2,000万未満しかいない状態のことをいいます。

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無精子症

精液中に精子が存在しないことをいいます。精子がつくられていない場合と、射精されるまでの過程で精子が輸送されていない場合があります。

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無精液症

無精液症とは、射精感があっても精液がまったく射精されないことを言います。また逆行性射精といい射精された精子が膀胱へ逆流してしまうこともあります。

精巣で作られた精子は精液に含まれ射精されることになります。しかし逆行性射精らの理由で精液が射精されないことを無精液症と呼びます。逆行性射精の治療法としては、膀胱内にある精子を回収して人工授精や体外受精を試みます。

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TRH負荷試験(TRHテスト)

TRH負荷試験とは、不妊検査の1つで「潜在性高プロラクチン血症」を診断するテストです。TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン/500ug)を投与(静注)して、脳下垂体からのプロラクチン(PRL)を測定します。

潜在性高プロラクチン血症では、TRH負荷試験前には15ng/ml以下を示し、TRH投与後には最大反応値70ng/ml以上の過剰反応を示します。

*潜在性高プロラクチン血症とは、日中にはプロラクチン値が正常なのに、夜間になると上昇してしまう疾患です。排卵障害や黄体機能不全を起こす原因となります。

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排卵障害

黄体化非破裂卵胞:LUF、luteinized unruptured follicle

黄体化非破裂卵胞(LUF、luteinized unruptured follicle)とは、基礎体温で体温が上昇しても、実際は卵胞が破裂していない状態をいいます。卵子を含んだ状態で卵胞が黄体化し、プロゲステロンが分泌されるため、基礎体温は上昇します。排卵が起こっておらず妊娠に至ることはありません。黄体化非破裂卵胞は、原因不明不妊(機能性不妊)の一因と考えられています。

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高プロラクチン血症

血液中のプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)の濃度が高い状態のことです。排卵が遅れたり、黄体機能不全が起きたり、卵の質を悪くし、着床を妨げたりすることがあります。治療のため、カバサールやテルロンやパーロデルなどの薬を服用します。

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多嚢胞性卵巣(PCO)

直径数mm~10数mmまでの多数の卵胞が存在するにもかかわらず、それ以上の卵胞の成熟が起こらず、排卵に至らない障害(排卵障害)です。また、卵巣は鶏卵大に腫大し、表面を被う白膜が厚くなってしまいます。特徴として、FSHに比べLHが高値です。また、男性ホルモン(テストステロン)の分泌が高まる症例もありますが、日本人ではこの症状を持つ人は少ないです。多のう胞性卵巣症候群は、様々なタイプの臨床症状を呈します。

超音波断層法では、小さな卵胞がネックレスのように多数確認することができます。クロミフェルなどの飲み薬で簡単に排卵が起こり、妊娠するものから、飲み薬の排卵誘発剤では全く反応せず、HMG製剤の排卵誘発剤を用いると30個以上卵が発育してしまうのもあります。このため、不妊専門施設での精密検査および治療を行う事をお勧めします。

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ネックレスサイン

ネックレスサインとは、卵巣内に成熟できない卵胞が、数珠状(ネックレス)に並んで見えることです。PCO患者の超音波診断では以下の写真のように、卵巣内に多数の中小の卵胞が、真珠のネックレスのように繋がっているみたいに見えるのが特徴です。

PCO(多嚢胞性卵巣)とは、卵巣内に卵胞がたくさん存在するものの、その1つ1つは成長を止めてしまっているものが多く、また卵巣の表皮が硬く厚くなってしまい排卵障害となる疾患です。

PCOでも卵胞の散らばり方には種類があり、ネックレスサインを持つほど重度な排卵障害の可能性が高く、またOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を引き起こしやすいと言われています。

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排卵障害

卵胞がうまく発育しなかったり、ある程度まで卵胞が発育しても卵胞破裂が起こらず卵子を含んだ(排卵しない)まま黄体形成が起きたりすることをいいます。

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排卵誘発剤

卵の発育を促す薬のことです。注射薬にはpure FSH製剤、recomenbinant FSH製剤、HMG製剤があり、経口薬にはセキソビット、クロミッドなどがあります。卵巣が腫れる、腹水がたまるなどの卵巣過剰刺激症候群(OHSS)という副作用、また、多胎妊娠の可能性が高まるため、その使用にあたっては医師とよくメリット、デメリットについて相談することが大切です。

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無排卵性月経

無排卵性月経とは、生理は来るのに排卵はしていない状態を指します。高温期と低温期の差がなく、月経周期が不安定で不正出血が起こりやすいのが特徴です。

無排卵性月経では、月経周期が異常に長かったり短かったりします。そのほかの症状では、月経量が異常に少ない、あるいは多い、また月経がすぐに終わってしまう、あるいはいつまでもダラダラと続くなどが上げられます。

無排卵性月経の治療では「妊娠を望んでいるかどうか?」で、その治療法が全く変わります。妊娠を望んでいる場合には、排卵を起こさせるために「排卵誘発剤」を服用するか卵巣刺激の注射(HMG)を打つことになります。

また妊娠を望んでいない場合には、エストロゲンとプロゲステロンの複合薬(一般的にピルと呼ばれる薬)を服用して、規則正しくに消退出血を起こしていきます。

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卵管性不妊

子宮頚管

子宮頚管とは、子宮腔と腟を結ぶ子宮頚部のことです。排卵期になると子宮頚管からアルカリ性の粘液を分泌されるようになり、酸性が苦手な精子の運動量をよくすることができます。

子宮は上部の3分の2が子宮体部に占められ、残りの3分の1が「子宮頚管」がある子宮頚部になります。(正確には子宮頚管と書きます)

子宮頚管から分泌される粘液を子宮頚管粘液といい、精子が子宮に進入するときにその動きを活発にしてくれる働きをします。

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子宮頚管炎

子宮頚管炎とは、子宮頚管に細菌が侵入して炎症を起こしたものです。子宮頚管炎の症状は、「おりもの」に変化が起こることが多く、「おりもの」がいつもと違った色になったり、粘り気があったり、臭いがあるときには子宮頚管炎を疑います。

子宮頚管炎はクラミジアや淋菌などの病原菌が存在している症状には、抗生物質で比較的に簡単に治療ができます。子宮頚管炎は「頚管性不妊」という不妊原因となりますので、早期の治療が必要になります。

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ピックアップ障害

ピックアップ障害とは、排卵された卵子を卵管采がうまく捉えることが出来ない障害です。卵子は腹腔内に流れてしまうので決して受精することも妊娠することもありません。卵管采とは卵管の1番奥に位置して、両手を広げたような形をしています。

排卵された卵子を卵管采が拾い上げる動きを「ピックアップ」といい、このときに卵管采が正常に機能しないことを「ピックアップ障害」と呼びます。ピックアップ障害の1番の原因は卵管采の癒着(組織同士がくっついてしまう)で、原因不明不妊症(機能性不妊)の原因の1つと考えられています。

*キャッチアップ障害、卵管采不全ともいいます。

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卵管采

卵管采とは、卵管の先端部にあり排卵された卵子をキャッチする場所です。卵管采に癒着が起きると卵子を卵管内に取り込むことができないので不妊の原因となります。(ピックアップ障害:キャッチアップ障害)

原因不明不妊では、このピックアップ障害を含めて卵管采が正常に機能していないことが多いと言われています。卵管采を調べる方法には通常腹腔鏡検査もありますが、THL(transvaginal hydrolaparoscopy)というダグラス窩からスコープを挿入する新しい方法があるようです。

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卵管障害

卵管障害(卵管性不妊)とは、卵管が詰まっている、癒着している、卵管采が卵子をキャッチできない(卵管采不全:キャッチアップ障害)などの障害を言います。

卵管障害は不妊全体の30%とも言われていて、受精出来にくいだけではなく「子宮外妊娠」を引き起こすこともあります。

近年とくに増え続けているのが、「クラミジア感染症」による卵管性不妊です。クラミジア感染症は最も頻繁に見られる性感染症(STD)で、子宮頚管炎から子宮内膜炎、そして卵管炎と徐々に被害が広がっていきます。

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頚管性不妊

頚管性不妊

頚管性不妊とは、腟と子宮腔を結んでいる細い場所「子宮頚管」に障害があり、それが原因で不妊となっていることです。子宮頚管は頚管粘液を分泌する場所でもあり、頚管粘液の性状が悪いと精子の進入を阻害します。頚管性不妊の原因はエストロゲンの分泌が少ないこと、子宮頚管内の炎症、抗精子抗体などが考えられます。

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頚管粘液

頚管粘液とは、子宮体部と腟をつなげる「子宮頚管」を覆っている粘液のことです。女性の体は排卵日付近になると、男性の精子を受け入れるために頚管粘液の分泌量が増えます。

頚管粘液は女性ホルモンのエストロゲンによって増加されます。本来「おりもの」とは区別されますが、赤ちゃんを望んでいる人たちの間では分かりやすく「おりもの」と呼んでいることも多いようです。

頚管粘液は、精子の移動を助ける役目があり、頚管粘液が少ないと妊娠しにくくなります。また精子と頚管粘液には相性があり、頚管粘液が精子の行動を止めてしまうケースもあります。(抗精子抗体)

クロミフェン(クロミッドなど)の排卵誘発剤の副作用で、頚管粘液が少なくなることがあります。インターネットでは「頚管粘液」と書かれることが多いですが正確には「頚管粘液」です。

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頚管粘液検査

頚管粘液(子宮頚部から分泌されている液)は、排卵日近くになると活発に分泌され、精子をスムーズに子宮内に導く働きをしています。この検査は、その量や性状を調べるための検査です。

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免疫性不妊

免疫性不妊

女性、男性どちらか一方、もしくは両方が有する異常抗体によって、精子の運動性や受精能力が障害されたり卵子の発育が悪くなったりすることもあります。抗体が不妊に関与している場合を免疫性不妊と呼び、抗精子抗体などがそれにあたります。

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子宮筋腫/子宮内膜症/チョコレート嚢胞

子宮筋腫

子宮は筋肉から成り立っています。そこから発生した良性腫瘍を子宮筋腫といいます。発生場所が子宮内膜に近い場合には着床障害や流産の原因になることがあります。

このため、子宮筋腫の発生場所、大きさ、数などから、場合によっては不妊治療を行う前に子宮筋腫核出術が必要な患者さんもいます。

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子宮筋腫核出術

子宮筋腫のみを手術で取り除き、子宮を温存し妊孕性を保つ手術法です。

当院でも実施可能です。メリットとデメリットがあり、メリットは手術による子宮の環境が良くなり、妊娠の可能性が高まります。デメリットは、子宮の傷がおさまるまで手術後3~6ヶ月は、避妊をしなければならないこと。もう1つは分娩は帝王切開をしなければならないことです。

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子宮腺筋症

子宮腺筋症とは、子宮内膜症の1種で、子宮内膜組織が子宮筋層(筋肉)の中に入り込んでしまう病気です。内性子宮内膜症と呼ばれることもあります。

子宮腺筋症の症状は、ひどい生理痛、過多月経、貧血などがあげられ、子宮筋腫と合併して発症することもあります。ひとたび子宮腺筋症が発症してしまうと、不妊原因となる受精卵の着床障害を引き起こすことがあり、治療や手術が必要になることも多いでしょう。

子宮腺筋症には、子宮筋層が部分的に大きくなる「局所型」と全体的にふくれる「びまん型」があります。子宮腺筋症の手術では病巣個所を切除する手術が行われますが、再発する可能性が高いことも知られています。

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子宮内膜症

子宮内膜が正規の子宮内腔だけにとどまらず、骨盤の腹膜や卵巣や子宮筋層内に入り込んでいる病気のことです。強い月経痛や性交痛を訴える場合に疑われます。不妊の原因となる場合があります。

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チョコレート嚢腫

チョコレート嚢腫、あるいはチョコレート嚢胞とは、卵巣内に出来る子宮内膜症ことを呼びます。子宮内膜症とは、本来なら子宮の内側をおおっている組織が、子宮の外側に増殖してしまう病気です。子宮内膜はエストロゲンやプロゲステロンの作用によって、厚くなったり剥がれ落ちたり(生理)しますが、子宮以外の増殖した内膜も、これと同じ現象が起こってしまいます。

チョコレート嚢腫では、生理のたびに卵巣内で出血と内膜の増殖を繰り返してしまい、結果逃げ場のない血液がドロドロのチョコレート状になることからチョコレート嚢腫と呼ばれます。チョコレート嚢腫は不妊の大きな原因で、排卵障害を引き起こすことが多くなります。

チョコレート嚢腫の治療には腹腔鏡手術が有効ですが、術後に再発する可能性も高いことが知られています。なおチョコレート嚢腫は、子宮内膜症で悩む人たちの間では「チョコ」と略した使われ方もします。

月経がある女性の10人1人は「子宮内膜症」といわれていて、そして不妊原因の第1位がこの子宮内膜症です。子宮内膜症のことを、エンドメトリオージス(Endometriosis)と呼ぶこともあります。

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卵巣嚢腫メソトレキセート固定術

卵巣嚢腫メソトレキセート固定術とは、子宮内膜症が原因で生じた卵巣嚢腫(通称:チョコレート嚢腫)に対する手術です。1泊2日の入院で済みます。経腟超音波ガイド下に卵巣嚢腫を刺し内容を吸引後、メソトレキセートを注入し子宮内膜症を病変のみを死滅させるという治療法です。従来はアルコールを注入していましたが、この方法の方がより安全で正常な卵巣組織へのダメージが最も少ないため2002年より導入しております。詳細は医師、看護婦に相談ください。

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性器奇形

子宮奇形

子宮奇形とは、子宮の数々の奇形状態で必ずしも不妊の原因ではありません。重複子宮、双頚双角子宮、単頚双角子宮、単角子宮、双角子宮、中隔子宮、弓状子宮などがあります。

子宮は左右のミュラー管が胎生8~15週くらいの間に癒合することで完成します。しかしこの過程で何かの異常が起こると子宮奇形が発生することがあります。

子宮奇形が着床障害などの不妊原因となることもありますが、そのことに加えて流早産の可能性が高くなることが問題視されています。

子宮奇形の手術では、軽度の場合では「シュトラスマン(Strassmann)手術」、高度な場合には「Jones&Jones手術」、また中隔子宮では「Tompkins手術」という方法が用いられています。

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双角子宮

双角子宮とは、子宮(子宮腔)がウサギの耳のように2つに分かれているものです。子宮奇形の1種で子宮腔が2つ存在している状態になります。

双角子宮そのものが、着床障害などの不妊の原因となることは少ないのですが、その子宮腔の形から流産を引き起こしやすいことが知られています。また出産の際に胎児がうまく回旋することが難しく帝王切開になることもあります。

子宮奇形にはこのほかにも、中隔子宮、弓状子宮、単角子宮などがありますが、子宮奇形が必ずしも不妊原因には結びつきません。しかし妊娠が成立した後に流早産の確率が高まることから、それらを繰り返し経験したときには腹腔鏡や開腹の手術を行うことがあります。

双角子宮の手術では、軽度の場合では「シュトラスマン(Strassmann)手術」、高度な場合には「Jones&Jones手術」という方法で、2つに分かれている子宮腔を1つにする治療が行われます。

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人工授精

人工授精

排卵の時期に合わせて精子を直接子宮腔内に注入する方法のことです。フーナーテスト不良や、精子の数が少ない人、運動率が悪い人、原因不明の人などが適応になります。人工授精の中には、夫の精子を使用する「配偶者間人工授精(AIH)」と精子提供者(夫以外)の精子を使用する「非配偶者間人工授精(AID)」があります。

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AID(非配偶者間人工授精)

AID(非配偶者間人工授精)とは、夫が無精子症などのときに「夫以外」の精子を使って人工授精させる方法です。現在日本で行われている、唯一の配偶子提供による生殖補助技術です。

AIDは1948年に初めて実施されてから、これまでに1万人以上の赤ちゃんが誕生したと言われています。しかし現在ではART(生殖補助技術)の進歩により、無精子症や乏精子症でも「顕微授精(ICSI)」により妊娠を得られるようになり、AIDは「絶対的無精子症」に限られるようになってきました。

AIDの実際は「精液を通じての感染」「AID児同士の婚姻」「法律の上での親子関係」「出自を知る権利」など、いくつかの問題点も残されています。

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AIH(配偶者間人工授精)

人工授精(AIH)とは、排卵日に合わせて夫の精子を注入器で子宮の奥に送り込ませる方法です。人工授精は一般的にはタイミング療法で妊娠しなかったときに、次のステップとして考えられている方法です。

医師が排卵を予測して、夫婦が性交のタイミングを合わせることを「タイミング法」と言いますが、人工授精では排卵に合わせて精子を子宮内に注入します。

使用される精子は人工授精の数時間前に、夫が自ら採取した精子です。この精子を人工授精前に不純物や細菌を取り除く処理をして、質のいい濃度が高いものだけを子宮内に戻します。

人工授精の成功率は5~10%程度となっています。そして人工授精を繰り返して6周期以内に妊娠する人が30~40%と考えられています。(多くの人がもっと高い確率と思っているようです)

人工授精の費用は、1万円前後のところが多いようです。ただ費用には決まりはなく、6千円くらいなこともあれば2万円以上かかる病院もあるようです。

人工授精には「人工」と自然妊娠とかけ離れた名前がついていますが、性交を持たない「タイミング法」と考えていいでしょう。治療の分類も「一般不妊治療」として扱われ、体外受精(ART)とは区別されています。

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不妊に関わる手術療法

マイクロサージェリー(顕微鏡下手術)

マイクロサージェリー(顕微鏡下手術)とは、卵管の閉塞や癒着を治療目的とする顕微鏡下で行われる手術のことです。

マイクロサージェリー(顕微鏡下手術)は卵管内の癒着部分を直接顕微鏡下によって摘出する方法です。マイクロサージェリーは以前には、卵管性不妊で悩む夫婦の切り札的治療法でした。しかし体外受精を施行する施設や技術があがり、体外受精の妊娠率が高くなったことにより現在では選択されるケースが少ないようです。

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卵管鏡下卵管形成術

卵管鏡下卵管形成術 とは、先端が広がるバルーンカテーテルを腟内から卵管まで挿入して、卵管の癒着を直接取る手術です。

卵管の手術は開腹手術、顕微鏡下手術、腹腔鏡下手術などがありますが体外受精(ART)の普及により行われることが少なくなってきています。

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性感染症

クラミジア感染症

性行為感染症(STD)の一つです。

特に女性が羅患すると、卵管閉塞や卵管周囲癒着などを引き起こし、不妊症の原因の1つになる可能性があります。

不顕性感染(症状に乏しい)であることが多く、自分の知らない間に感染していることがあり、日本だけでなく世界的にも問題になっている感染症の1つです。

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性感染症(STD)

性感染症(STD)とは、梅毒、淋病、クラミジア、トリコモナス、性器ヘルペス、エイズなどの、いわゆる性病です。感染したらパートナーも一緒に治療することが必要になります。近年では、骨盤内炎症性疾患(PID)がここ数十年の間に急激な増加傾向にあることが知られています。

STDの中でも最もポピュラーなのはクラミジア感染です。クラミジア感染を放置しておくと卵管性不妊症に発展することがあり、卵管内に炎症と癒着が起きることがあります。

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子宮内膜、子宮腔

子宮腔

子宮腔とは、妊娠に最も大切な子宮体部内のスペースのことです。文字通り赤ちゃんが育つスペースを言います。子宮腔にある子宮内膜が厚くなることによって、受精卵が着床することが可能になります。

子宮にはこの子宮腔のある「子宮体部」と、腟と子宮体部を結ぶ「子宮頚部」によって構造されています。イラスト赤い部分の逆三角形の部分が子宮腔にあたります。

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子宮内膜

子宮内膜とは、子宮を覆う粘膜組織のことです。子宮は骨盤の中央辺りに位置していて、逆三角形の形をした袋状の臓器です。子宮は、腟につながっている子宮頚部(下につながる細い部分)と、逆三角形に膨らんでいる子宮体部とがあり、そして両手を広げたような卵管部分へとがつながっています。

子宮内膜とは子宮体部の内側を覆う粘膜のことで、この場所に受精卵が着床すると妊娠の成立となります。子宮内膜は女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)と親密な関係があり、これらのホルモンによって子宮内膜が厚くなると受精卵が着床しやすくなる仕組みです。

子宮内膜は排卵に合わせて1mmから1cm程度に変化します。そして排卵後に受精卵が着床しなければ、厚くなった子宮内膜が剥がれて生理となるのです。不妊原因の1つ「子宮内膜症」とは、本来ならこの子宮の内側をおおっている組織が、子宮の外側に増殖してしまう病気です。

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子宮内膜癌(子宮体がん)

子宮内膜癌とは、赤ちゃんが発育する子宮内膜に悪性のがん細胞が出来てしまう病気です。エストロゲンの大量分泌が原因するとも考えられ、子宮内膜増殖症や不正出血が子宮内膜癌の兆候として上げられます。

子宮内膜癌(子宮体ガン)にかかりやすいとされる人は、妊娠や出産経験が少ない人、肥満や高血圧を伴う人、糖尿病、PCO(多嚢胞性卵巣)の人などがあげられます。

子宮内膜癌の症状は無症状のことが多いですが、進行していくと不正出血や悪臭、下腹部痛を伴うことがあります。子宮内膜癌は閉経に差しかかる40後半~50代に多く見られますが、40歳未満の若年性の子宮体癌も5~6%に見られるという報告があります。

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子宮内膜吸引

月経周期2~4日目のどこかで子宮内膜に10~12Frのネラトンカテーテルを挿入し、子宮内膜を吸引するという方法です。この事により、その後の子宮内膜の発育が良好になります。もともとは凍結胚移植の際、様々な子宮内膜調整法を用いても、子宮内膜が良好にならない症例に対して子宮内膜吸引後子宮内膜調整を行ったのち、胚移植を実施し妊娠・分娩に至った症例を経験してから導入した当院オリジナルの方法です。現在反復ART失敗例に対して実施しており、子宮内膜洗浄との併用で妊娠分娩に至っている症例が増加しています。

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子宮内膜増殖症

子宮内膜増殖症とは、赤ちゃんのためのベッドと呼ばれる子宮内膜が必要以上に増殖してしまう病気です。

通常の女性は月経周期に1回、子宮内膜がきれいに剥がれ落ちます。これが生理で子宮内のいらなくなった老廃物をきれいに掃除してくれます。

しかし生理になっても、ホルモンの影響で子宮内膜がすべて剥がれ落ちずに増殖してしまうことがあり、これを子宮内膜増殖症と呼びます。

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子宮内膜日付診

子宮内膜日付診とは、黄体ホルモン(プロゲステロン)を調べる検査として高温期の中間(7日目)辺りに、子宮内膜の1部を採って、細胞の育ち具合を顕微鏡で見る検査です。細い耳かきのような器具を直接子宮に挿入して、内膜の組織を採取したあとに顕微鏡で調べます。

子宮内膜日付診は古くから行われている検査ですが、その正確性が低いことが欠点となっています。近年では同様に黄体期に行う、「ホルモン検査(血液検査)」を行うことが多いようです。

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子宮内膜ポリープ

子宮内膜ポリープとは、子宮内膜にできる小さいコブ状なものです。子宮内膜ポリープの原因は、炎症や分娩、流産からできる場合もありますが、ホルモン(エストロゲン)の影響からできる場合がほとんどと言われています。子宮内膜ポリープがあると、受精卵の移動を阻害することから着床障害を起こす可能性が高くなります。

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子宮内膜癒着

子宮内膜癒着とは、赤ちゃんが育つスペースの子宮内膜に癒着が起こってしまうことです。流産や人工中絶、炎症が原因で子宮内膜に傷を受けると子宮内膜癒着がおき不妊の原因となることがあります。

癒着とは、組織同士がくっついてしまうことです。癒着は卵管や卵巣、子宮やその周辺のいたる場所に起きますが、子宮内膜に癒着ができると受精卵が着床しにくくなったり流産を引き起こす原因となります。

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粘膜下筋腫

粘膜下筋腫とは、子宮筋腫の1つで子宮内膜から子宮内腔へ向かって発育した、茎を持ったイボのことです。有茎性粘膜下筋腫とも言います。

粘膜下筋腫は子宮を圧迫して着床を妨げるために不妊や流産の原因となります。症状としては、重い生理痛や多量の出血、あるいは貧血が起こりやすくなります。同じように子宮腔に出来るイボに子宮内膜が増殖する、子宮内膜ポリープがあります。

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分泌期内膜

分泌期内膜とは、受精卵が着床するために最も適した子宮内膜の状態をいいます。黄体期にプロゲステロンが正常に分泌されることによって子宮内膜は肥厚して、黄体期中期には最も着床に適した状態になります。そしてこの時期のことを「implantation window:着床の窓」と呼びます。

子宮内膜は黄体期の日数と相当した状態であることが望ましく、分泌期内膜は黄体期中期に現れます。子宮内膜の状態が2日以上遅延していると「黄体機能不全」と診断されることがあります。また分泌期内膜の状態を調べる検査として、「子宮内膜組織診」という内膜の組織を耳かきのような器具で採取する検査があります。

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妊娠合併症

胎児死亡/死産

妊娠20週終了以降で母体から児が排出する前に死に至ったものです。死産とは出産後に児が呼吸をしていないか、あるいは臍帯拍動が認められない、また随意筋の確かな動きが認められない状況です。

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流産

  • 稽溜(けいりゅう)流産:胎嚢(胎児の袋)は存在するが、胎児を認めないか、胎児は認めても胎児心拍が無い状態の流産です。出血などの症状が無くても、妊娠は順調に経過してません。妊娠週数が正しいならば妊娠7週で胎児心拍数を認められなければほぼ稽溜流産で間違いありません。
  • 切迫流産:下腹部痛、出血など流産の兆候があるけれど妊娠が継続している状態で出産の可能性があるもののことをいいます。
  • 不全流産:胎児や組織の一部が体内に残された流産のことをいいます。
  • 反復流産:2回続けて流産することをいいます。
  • 習慣性流産:3回以上続けて流産することをいいます。

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一般不妊関連事項

偽閉経療法

偽閉経療法とは、下垂体ホルモン(FSH、LH)を抑制して人為的に閉経した状態を作る治療法です。子宮内膜症、子宮筋腫の治療、あるいは体外受精の際に自然に排卵しないようにする方法です。

脳下垂体に直接作用させる「GnRHアゴニスト」という薬を使った治療法が「偽閉経療法」となります。具体的にはスプレー剤の「スプレキュア」「ナサニール」などを数日に渡り連続で使用することでFSH、LHの 分泌を抑えることが出来ます。

当初ダナゾールという薬剤を用いた治療を「偽閉経療法」と呼んでいましたが、性腺刺激ホルモンの分泌抑制作用や抗エストロゲン作用が少なく、現在では主流ではなくなりました。

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機能性不妊

機能性不妊とは、不妊検査では異常が見当たらないにも関わらずに、その後も赤ちゃんが授かれないことです。不妊原因が見当たらないので効果的な治療法が行われず、また人工授精や体外受精へのステップアップが見送られることも多く、長い時間赤ちゃんを授かれずに苦しむことがあります。

機能性不妊は、原因不明不妊とも言われ不妊症患者の約1~2割が機能性不妊であると言われています。ただ機能性不妊は不妊原因が見落とされているだけで、多くの場合は腹腔鏡検査などの精密検査をすると不妊原因があるようです。

「機能性不妊」と「原因不明不妊」を区別することもあります。この場合では、基本的な検査で不妊原因が認められなかったものを「機能性不妊」と呼び、さらに精密検査でも異常が見つけられなかったものを「原因不明不妊」と呼びます。

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原発性不妊症

いままでに1度も妊娠した経験のない不妊症のことです。

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続発性不妊

妊娠の既往はあるものの、その後妊娠に至らないことです。

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不妊症

生殖年齢の男女が妊娠を希望して、一定期間性生活を行っているにもかかわらず、妊娠しない場合をいいます。その一定期間については、2年というのが一般的でしたが、現在では、12ヶ月以上にわたって規則的に避妊を講じないで性交を試みたとしても、臨床的妊娠に至らない生殖系の疾患と定義されています。

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生殖医療に用いられる薬剤

グルココルチコイド

グルココルチコイドとは、副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンのことです。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)では、副腎性アンドロゲン(男性ホルモン)を抑制する目的で、グルココルチコイドが使われるときがあります。

デキサメタゾンを1日2mg、あるいはプレドニゾロン(プレドニン)を1日5mgずつ、連続で服用します。高アンドロゲン血症時の排卵の回復、多毛や肥満などの治療として効果があるとされています。

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クロミッド

クロミッドとは、排卵誘発剤クロミフェンの商品名。経口製の排卵誘発剤の総合的な名前をクロミフェン製剤といい、その中でもクロミッドはもっとも広く処方されている薬です。クロミフェンにはクロミッドの他にも、セロフェン、オリフェン、フェミロンなどの名前の薬がありますが、これらはどれも同様の効果を持ち、商品名によって薬の効き目に違いがあるわけではありません。

クロミッド錠の効果は、視床下部の脳下垂体に働きかけ卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の分泌を促します。排卵誘発剤という名前ではありますが、直接的には排卵させる効果よりも卵を成熟させるための薬と考えておけばいいでしょう。

クロミッド錠の副作用として、顔面紅潮感が5.4%、卵巣腫大が2.9%、下腹痛が2.2%、吐き気、嘔吐が2.0%、頻尿、尿量増加が1.5%、その他の頭痛、蕁麻疹、視覚障害、疲労感、神経興奮などが1%未満との報告があります。

腹水などでおなかが腫れてしまう「OHSS(卵巣過剰刺激症候群)」の発症率は0.4~5%程度ですが、そのほとんどは軽症で、重症に陥るということは稀です。また双子などの多胎妊娠の確率は2~5%程度となっています。

またクロミッドを数周期以上に渡り連用すると、頚管粘液の減少、子宮内膜が薄くなるといった「抗エストロゲン作用」の副作用が起きやすくなります。これらの副作用は妊娠する確率を下げてしまいますので、慎重に服用中の経過を見ていく必要があります。

クロミッド錠を服用することによって排卵日が安定します。排卵例の約80%は投与開始後から、「12~14日ごろ」排卵します。卵が十分に成長しているのに自然排卵が難しいときには、hCGという注射で排卵の手助けをすることになります。

クロミッド錠の用量につきましては1錠(50mg)から開始するのが一般的で、月経周期の5日目、あるいは3、4日目から5日間、連続で内服します。卵胞発育が見られない症例では次回から、2錠、あるいは3錠と増量していくことになります。

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ゴナドトロピン

主に、下垂体から分泌される性腺を刺激するホルモンをいい、FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)の2つがあります。卵胞刺激に用いられるHMGは、この2つのホルモンを含んだ製剤です。

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シクロフェニル(薬剤名:セキソビット)

経口の排卵誘発剤です。副作用は少ないですが、排卵誘発効果も弱いです。

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セキソビット

セキソビットとは、排卵誘発剤の商品名を指し、一般名はシクロフェニル製剤といいます。セキソビット錠を服用することで脳下垂体に働きかけ、FSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体形成ホルモン)の分泌とを促すことで、排卵を起こさせる効果があります。

同じく経口の排卵誘発剤にはクロミフェン(クロミッド)がありますが、セキソビットはこれよりマイルドな排卵誘発剤です。セキソビットの排卵率は50%程度といわれ、クロミフェンよりも少ない数字(クロミッドは70%程度)となりますが、その代わりにOHSS(卵巣過剰刺激症候群)などの副作用がまず起こりません。

セキソビット錠の服用につきましては、月経周期の5日目から1日4~5錠を、5~10日間続けて飲むことが一般的です。クロミフェン療法で、頚管粘液の減少、子宮内膜が薄くなるといった副作用が出た場合に、シクロフェニル療法に変わることがあります。

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セロフェン

セロフェンとは、排卵誘発剤クロミフェンの商品名。経口製の排卵誘発剤の総合的な名前をクロミフェン製剤といい、セロフェンの他にもクロミッド、オリフェン、フェミロンなどの名前の薬があります。これらはどれも同様の効果を持ち、商品名によって薬の効き目に違いがあるわけではありません。

セロフェン錠の効果は、視床下部の脳下垂体に働きかけ卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の分泌を促します。排卵誘発剤という名前ではありますが、直接的には排卵させる効果よりも卵を成熟させるための薬と考えておけばいいでしょう。

セロフェン錠の副作用として、顔面紅潮感が5.4%、卵巣腫大が2.9%、下腹痛が2.2%、吐き気、嘔吐が2.0%、頻尿、尿量増加が1.5%、その他の頭痛、蕁麻疹、視覚障害、疲労感、神経興奮などが1%未満との報告があります。

腹水などでおなかが腫れてしまう「OHSS(卵巣過剰刺激症候群)」の発症率は0.4~5%程度ですが、そのほとんどは軽症で、重症に陥るということは稀です。また双子などの多胎妊娠の確率は2~5%程度となっています。

またセロフェンを数周期以上に渡り連用すると、頚管粘液の減少、子宮内膜が薄くなるといった「抗エストロゲン作用」の副作用が起きやすくなります。これらの副作用は妊娠する確率を下げてしまいますので、慎重に服用中の経過を見ていく必要があります。

セロフェン錠を服用することによって排卵日が安定します。排卵例の約80%は投与開始後から、「12~14日ごろ」排卵します。卵が十分に成長しているのに自然排卵が難しいときには、hCGという注射で排卵の手助けをすることになります。

セロフェン錠の用量につきましては1錠(50mg)から開始するのが一般的で、月経周期の5日目、あるいは3、4日目から5日間、連続で内服します。卵胞発育が見られない症例では次回から、2錠、あるいは3錠と増量していくことになります。

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デュファストン

デュファストンとは、黄体ホルモン(プロゲステロン)を補う薬として使われます。黄体機能不全(高温期が短い、低温と高温の差がない)のときなどに、デュファストンを排卵日後に服用することで、高温期を維持して子宮内膜を厚く、そして着床しやすい状態にしてくれます。デュファストンと同じような使われ方で「hCG注射」で卵巣に働きかけることもあります。

デュファストンは一般不妊治療でよく使われる薬です。頭痛や吐き気などの副作用を訴える人も稀にいますが、比較的副作用も出にくく使いやすい薬といわれています。

またデュファストンを月経周期が不安定なときや排卵がないときに服用して、人工的に子宮内膜を厚くさせて生理を起こさせる治療法もあります。(ゲスターゲン療法)

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テルロン

テルロンとは、高プロラクチン血症の治療薬です。テルロンは乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)の数値が高い人に出される薬で、妊娠するかプロラクチンの数値が改善されるまで飲み続けることになります。 テルロン→テルグリドの商品名。

プロラクチンが通常よりも高くなってしまうことを高プロラクチン血症といいます。プロラクチンは15ng/ml以下が正常値とされ、これの範囲を超えるとテルロン、あるいはプロモクリプチン(パーロデル)が処方されることが多いでしょう。

テルロンは一般的に副作用が出やすい薬とされ、吐き気や嘔吐、頭痛などを伴うことがあります。飲み続けると副作用に慣れることもありますが、医師と十分に相談されるのがいいでしょう。

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ナサニール点鼻液

ナサニールとは、視床下部に働きかけることで脳下垂体ホルモンの分泌を抑制する点鼻薬です。似た薬にスプレキュアがあります。ナサニール、スプレキュアとは商品名を指し、これらの薬をまとめて「GnRHアゴニスト」と呼んでいます。

GnRHとは「ゴナドトロピン放出ホルモン」のことで、このホルモンが分泌されると、脳下垂体ホルモンのFSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体化ホルモン)が作用して、卵巣内の「卵」が成長して排卵します。

体外受精では全ての卵の成長をコントロールしたいので、卵が気まぐれに大きくなったり排卵したりしては困るのです。そこでナサニールを使うことで、下垂体ホルモンの分泌を抑制して人為的に卵を熟成させていくのです。

一般的な体外受精にはロング法とショート法がありますが、両者の違いはGnRHアゴニストの使用期間になります。ロング法では前周期の黄体期半ばから、ショート法では月経が開始されてからGnRHアゴニストを連続で使用します。

またナサニールには短期で使うことで、排卵を促す効果があります。これはナサニールの「フレアーアップ」というLHとFSHの急激な上昇を利用したもので、HCG注射の代用として体外受精以外の周期でも使用されることがあります。

ナサニールの副作用は、頭痛や下腹部痛、不正出血などがあげられます。しかし副作用は一時的なことが多く、比較的使いやすい薬とされています。またナサニールを上手に点鼻できないこともありますがこれも「慣れ」が関係するようです。

スプレキュアは子宮内膜症や子宮筋腫の治療にも使われます。下垂体ホルモン、卵巣ホルモンの分泌を抑制することで、あたかも閉経したような状態を作るのです。(偽閉経療法)

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パーロデル

パーロデルとは高プロラクチン血症の治療に使われる薬で、一般名はブロモクリプチン。ホルモン検査でプロラクチンが高いと診断された場合、パーロデルをプロラクチンの数値が改善される、あるいは妊娠するまで飲み続けることになります。

プロラクチンが通常よりも高くなってしまうことを高プロラクチン血症といいます。プロラクチンは15ng/ml以下が正常値とされ、これの範囲を超えるとテルロン、あるいはプロモクリプチン(パーロデル)が処方されることが多いでしょう。

テルロンは一般的に副作用が出やすい薬とされ、吐き気や嘔吐、頭痛などを伴うことがあります。飲み続けると副作用に慣れることもありますが、医師と十分に相談されるのがいいでしょう。

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バイアグラ

バイアグラとは、ED(勃起不全、勃起障害)など男性性器に問題がある場合の一時的な治療薬のことです。普通の性交では射精が難しいときの手助けとなる薬です。バイアグラは、海綿体にある平滑筋を弛緩させ勃起させます。ただし副作用もあるもので誤った利用法で使用されることもあることから、現在では販売が疑問視されています。

不妊の隠れた原因と言われる性機能障害は最近になって増え続け、特にEDは性機能障害の中でも70%を占めると言われています。ED(勃起不全)、性交障害、射精障害などセックスがうまくできないことを性機能障害と言います。

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レトロゾール(商品名:フェマーラ)

アロマターゼ阻害剤で、エストロゲンの生成を阻害し、視床下部に作用して下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を増加させて、卵巣での成熟を促します。無排卵症やPCO(多嚢胞性卵巣)の場合に使用することで排卵誘発ができます。またクロミッドのように抗エストロゲン作用がなく、頚管粘液や内膜に悪影響を及ぼしません。クロミフェン抵抗性の難治性無排卵症でも有効な場合があります。

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フェミロン

フェミロンとは、排卵誘発剤クロミフェンの商品名。経口製の排卵誘発剤の総合的な名前をクロミフェン製剤といい、フェミロンの他にもクロミッド、セロフェン、オリフェンなどの名前の薬があります。これらはどれも同様の効果を持ち、商品名によって薬の効き目に違いがあるわけではありません。

フェミロン錠の効果は、視床下部の脳下垂体に働きかけ卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の分泌を促します。排卵誘発剤という名前ではありますが、直接的には排卵させる効果よりも卵を成熟させるための薬と考えておけばいいでしょう。

フェミロン錠の副作用として、顔面紅潮感が5.4%、卵巣腫大が2.9%、下腹痛が2.2%、吐き気、嘔吐が2.0%、頻尿、尿量増加が1.5%、その他の頭痛、蕁麻疹、視覚障害、疲労感、神経興奮などが1%未満との報告があります。

腹水などでおなかが腫れてしまう「OHSS(卵巣過剰刺激症候群)」の発症率は0.4~5%程度ですが、そのほとんどは軽症で、重症に陥るということは稀です。また双子などの多胎妊娠の確率は2~5%程度となっています。

またフェミロンを数周期以上に渡り連用すると、頚管粘液の減少、子宮内膜が薄くなるといった「抗エストロゲン作用」の副作用が起きやすくなります。これらの副作用は妊娠する確率を下げてしまいますので、慎重に服用中の経過を見ていく必要があります。

フェミロン錠を服用することによって排卵日が安定します。排卵例の約80%は投与開始後から、「12~14日ごろ」排卵します。卵が十分に成長しているのに自然排卵が難しいときには、HCGという注射で排卵の手助けをすることになります。

フェミロン錠の用量につきましては1錠(50mg)から開始するのが一般的で、月経周期の5日目、あるいは3、4日目から5日間、連続で内服します。卵胞発育が見られない症例では次回から、2錠、あるいは3錠と増量していくことになります。

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フェルティノームP

フェルティノームPとは「排卵誘発剤」の注射薬で、hMGからLHを取り除いた「FSH製剤」のことです。排卵前からフェルティノームP を連続で筋肉注射(皮下注射)をすることで、卵巣に直接作用して卵を成熟させます。

フェルティノームPはLHがほとんど含まれていないため、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の「HMG-HCG療法」の第1選択となります。PCOSではLHが慢性的に高値を示すため、HMG製剤よりもLHが含まれていないFSH製剤のほうが望ましいのです。

フェルティノームPと同様な排卵誘発剤に「フォリルモンP」があります。近年では遺伝子組み換え型(リコンビナント)FSHも使われることがあるようです。(フォリスチム)

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プレマリン(Premarin)

プレマリンとは経口のエストロゲン剤の1つで、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が少ないときに、それを補充するために使われる薬です。プレマリンは更年期障害などにも使われますが、不妊治療では子宮頚管粘液の分泌を促すため、あるいは子宮内膜の肥厚を促すときに使用されます。

もともと卵胞ホルモン(エストロゲン)は、卵巣内の「卵胞」が発育することによって分泌されます。しかし卵胞の発育する力が弱かったり、子宮内膜や子宮頚管の感受性が悪かったりするときには、それを促すようにプレマリンを(0.625mg/Day)を内服します。

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プロゲステロン(黄体ホルモン)

プロゲステロン(黄体ホルモン)とは、女性ホルモンの1つで排卵後の卵胞が黄体化することによって分泌されるようになります。子宮内膜を肥厚させ受精卵が着床しやすい状態にします。また妊娠後には赤ちゃんと子宮をつなげる「胎盤」からも分泌されます。

卵巣から分泌されるホルモンには「プロゲステロン」と「エストロゲン」があります。妊娠ホルモンと呼ばれるエストロゲンとプロゲステロンの作用により、月経周期は成り立っています。またプロゲステロンは基礎体温を上昇、妊娠の維持作用、乳腺の発育作用もあります。

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プロスタグランジン

プロスタグランジンとは、妊娠に大いに関わりがある、卵管機能、卵胞発育、黄体形成や受精に障害を起こさせる可能性がある生理活性物質のことです。

プロスタグランジンは、子宮収縮や炎症、生理痛などを引き起こす物質として知られています。「子宮内膜症」では、そこから分泌されるプロスタグランジンによって不妊原因を作り出しているとの考え方があります。

また精液中の精子にプロスタグランジンが含まれていることも知られています。プロスタグランジンが子宮収縮や炎症、感染症を引き起こすきっかけになることがあります。

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ブロモクリプチン

ブロモクリプチンとは、高プロラクチン血症やパーキンソン病の人に使う薬の一般名です。不妊原因である「高プロラクチン血症」とは、乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)が通常よりも過剰に分泌されてしまい卵胞の成熟や着床を阻害する疾患です。

ブロモクリプチンは「麦角アルカロイド誘導体」の高プロラクチン血症改善薬です。商品名はパーロデル、パロラクチン。

高プロラクチン血症改善薬は副作用が強いことが知られています。服用開始当初には、かなりの人が吐き気や動悸などの副作用を感じるようです。しかし服用を続けて体が慣れてくると症状が消えることもあります。

同じくドーパミン作動薬である「高プロラクチン血症改善薬」には、カベルゴリン(カバサール)、テルグリド(テルロン)などがあります。

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メトホルミン(薬剤名:メトグルコ錠)

糖尿病治療薬の1つです。

多嚢胞性卵巣症候群の患者さんの中には、インスリンの分泌が正常な人よりも亢進している人が存在します。この場合、メトホルミンを内服することでインスリン分泌が正常になり、体重が減少します。これに伴い、正常な排卵周期にもどる人もいます。

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ルトラール

ルトラールとは、黄体ホルモンを補う治療として一般不妊治療でよく使われる薬です。黄体機能不全などの黄体の働きが悪いときや黄体期間が短いときに、子宮内膜を厚くさせ着床しやすい状態にします。ルトラールを使うと妊娠していなくても生理が予定日より遅れることがあります。

またルトラールを月経周期が不安定なときや排卵がないときに服用して、人工的に子宮内膜を厚くさせて生理を起こさせる治療法もあります。(ゲスターゲン療法)

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HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)

胎盤性ゴナドトロピンともいわれ、黄体化ホルモン(LH)作用があります。排卵誘発剤や黄体機能賦活剤として注射します。

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HMG(ヒト閉経ゴナドトロピン)

排卵誘発剤です。閉経後の女性の尿から抽出した製剤で、強力な卵胞刺激作用があります。基本的な構成部分は卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)で、その割合は製品によって異なります。

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染色体/遺伝子と反復流産

染色体と遺伝子異常

黄体:プロゲステロン、黄体ホルモン

黄体とは、卵子が排卵された後の卵胞に残存する顆粒膜細胞や莢膜細胞が変化したものです。黄体から分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)は、子宮内膜を肥厚させ受精卵が着床しやすい状態にします。プロゲステロンの不足した状態を黄体機能不全といい、不妊原因となることがあります。

排卵後の卵胞の残存細胞はLH(黄体形成ホルモン)の刺激されて、黄体へと変化しプロゲステロンの分泌を始めます。しかし、黄体の機能は2週間ほどしか続くことができず、黄体が退行すると月経が起こります。もし、着床が成立すると受精卵の周囲の細胞であるトロホブラストから、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が分泌され、これがLHの代わり黄体を刺激し、一回り大きな妊娠黄体が形成されます。

妊娠黄体からは黄体ホルモンが分泌されて妊娠を継続させます。そして妊娠8週ころになると黄体の機能は低下を始めて、今度は胎盤から黄体ホルモンが分泌され妊娠の継続が可能します。

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染色体異常

染色体異常とは、卵子などの染色体に異常を持ってしまうことです。初期流産の約半数以上の原因が染色体異常といわれ、未だ不明な点が多いとされています。染色体異常は親から引き継いだものは少なく、生殖細胞の発生か受精卵発生の過程で生じることが多いと考えられています。

習慣流産者(流産を3回以上繰り返すこと:不育症)では3~8%に染色体異常が認められるというデータがありますが、その診断は非常に難しく、また染色体異常を認められた場合でもその治療法はないとされています。

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ターナー症候群

ターナー症候群とは、生まれつき染色体の一部が足りないことによって起こります。女性だけに起こる病気で、主な症状としては成長しても身長が大きくならずに、放っておくと140cm未満で止まってしまうこともあります。

ターナー症候群は他にも「初潮がこない」「おっぱいが大きくならない」などの、女性が大きくなるために必要な、二次性徴に問題がある場合があります。

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着床前検査、出生前検査

インフォームドコンセント:説明の上の同意

医師は治療をしていく上で患者に理解できる形で説明する義務があります。インフォームドコンセントとは、医師による一方的な説明と治療ではなく、「説明の上の同意」という意味です。両者の同意の上で治療がすすめられることで、医師との信頼関係築かれます。不妊治療では患者が十分に理解できないままにいろいろな治療が行われ、そのため薬の副作用や無効な治療が行われる例も聞かれます。

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着床前診断

特異的な遺伝子異常、構造異常あるいは染色体異常を検知する目的で、卵、接合子あるいは胚の極体、割球あるいは栄養外胚葉を採取し、診断する方法です。

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着床前スクリーニング

染色体異常、突然変異あるいはDNAoの異常などの有無を検知するために、卵、接合子あるいは胚から極体、割球あるいは栄養外胚葉を採取し分析する方法です。着床前診断と同じ医療行為ですが、高齢女性や流産を起こした患者全てに行う事をスクリーニングと言います。

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反復流産と反復着床障害

抗リン脂質抗体

抗リン脂質抗体とは、自己免疫異常のために出来る自分を攻撃する抗体です。血栓症、習慣流産、不育症などの原因になります。また抗リン脂質抗体が着床時に絨毛細胞に障害を及ぼして、着床障害の原因となることが指摘されています。

抗リン脂質抗体は全身性の自己免疫に分類され、同じような自己免疫疾患では全身性エリテマトーデス(SLE)などがあります。

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子宮内膜洗浄

胚盤胞移植の際、培養72時間目でG1 mediumからG2 mediumに胚を移しかえます。その際、G1 medium の培養液を子宮内腔へ注入する当院独自の方法で2003年から臨床導入しております。方法は腟内を洗浄後、AIH針を用いて子宮内腔へ72時間胚培養していたG1 mediumの培養液2~3mlを注入します。

似たような論文がFertil.Steril 2007 Nov;88(5):1339-1343にSEET(Stimulation of endometriumembryo transfer)として掲載されています。SEETでは胚盤胞と培養液の上清を凍結保存し凍結胚移植3日前に培養液の上清を20㎕子宮底から1cm離れたところに注入します。当院の子宮内膜洗浄は、新鮮胚移植周期で実施するものであり、ルーチンで行っている方法でなく反復ART失敗例に実行しております。

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習慣流産

習慣流産とは、連続して流産を3回以上繰り返す事を言います。2回繰り返す事は反復流産といい、習慣流産とは区別されています。本来流産は染色体異常などが原因で、独立的な出来事として起こります。

実際に流産していない人と、1回経験した人が次の妊娠で流産する確率は15%程度で変わらりません。ところが2回経験した人が3回目に流産する確率は20~30%、3回以上経験した人が次に流産する確率は50%と、繰り返すたび確率は上がってしまうようです。

習慣流産者(流産を3回以上繰り返すこと)では3~8%に染色体異常が認められるというデータがありますが、その診断は非常に難しく、また染色体異常を認められた場合でもその治療法はないとされています。

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リンパ球移植(療法)

リンパ球移植とは、流産が3回以上続いてるときや夫婦間でHLAが似ているときなどに夫のリンパ球を妻に移植して改善をはかる方法です。

リンパ球移植(リンパ球療法)は、妊娠前にあらかじめ夫のリンパ球を母体に投与することによって、実際に妊娠した際に遮断抗体の産出を期待する治療法です。HLAとはヒト組織適合抗原といい、夫婦間に類似したHLAを持っていると流産に結びつくことがあるといわれています。

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HLA(ヒト組織適合抗原)

HLA(ヒト組織適合抗原)とは、遺伝子レベルの自己白血球の抗原をいいます。夫婦の間で似たようなヒト組織適合抗原(HLA)を持っていると流産しやすいと考えられています。このようなケースを「夫婦間同種免疫を伴う流産」といい、その後も流産を繰り返す可能性があります。(習慣流産)

また母体と胎児間にもHLAの類似性が高く、母体が胎児を認識できないことが1つの問題だと考えられています。治療には「リンパ球療法」といい、X線や抗がん剤で不活化した夫リンパ球を数回に分けて投与するものですが、いちじるしい効果を期待できないとの声もあります。

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画像診断/内視鏡

内視鏡

子宮鏡

ヒステロスコピーともいい、子宮頚部から内視鏡を入れて子宮腔内を肉眼的に観察する検査です。子宮内膜の状態を直接観察することが可能です。この検査により、子宮内膜ポリープや子宮筋腫が見つかることがあります。

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ヒステロファイバースコープ

ヒステロファイバースコープとは、子宮鏡検査に使われる外径が約3mm程度の内視鏡(細い管の先にカメラがついたもの)のことです。

スコープの先にワイヤーを付けて、操作レバーで先端を自由に屈曲することができます。通常で使われる診断用ヒステロファイバースコープと、処置用のヒステロファイバースコープがあります。

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腹腔鏡検査(ラパロスコープ)

腹部のおおよそ3ヵ所に5~10mmの小孔をあけ、そこから内視鏡と操作鉗子を挿入し、腹腔内を観察する検査のことです。この検査によって、子宮内膜症病変、卵管の形態、腹腔内の癒着の状態などを診断できます。

また、治療のための装置を挿入すれば、腹腔内癒着の剥離や、子宮内膜症病変の焼灼、卵管形成なども可能です。

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画像診断

超音波検査(エコー)

周波数の高い音波を臓器に発信して、その反射波をコンピューターで映像化する医療機器を使って調べる検査のことです。不妊治療においては、一般に腟の方から超音波検査(経腟超音波検査)を行い、卵胞の発育や内膜の状態などを検察します。

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MRI

磁気共鳴画像診断装置(磁気を使用し身体の断層写真を撮影する検査機器)で、婦人科においては、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍などの診断に役に立ちます。

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生殖内分泌関連事項

生殖内分泌、ホルモン動態、内分泌代謝異常

アンドロゲン(男性ホルモン)

アンドロゲン(androgen)とは、男性ホルモンの総称で、男性性器の発育、骨格や筋肉の形成、性欲のの促進、精子形成などに深く関わるホルモンです。精巣や卵巣卵巣からはテストステロン、アンドロステンジオンが、副腎からはデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、デヒドロエピアンドロステロンサルフェイト(DHEAS)が主に産生されます。

精巣で産出されるテストステロンと呼ばれるアンドロゲンが最も活性が高く、精液所見の改善のために投与されることがあります。女性にもアンドロゲンは分泌されますが、分泌量は男性に比べるとごく僅かです。女性で過剰なアンドロゲンが分泌されると、排卵障害を引き起こし不妊原因になることがあります。

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と呼ばれる疾患では男性ホルモンの分泌が亢進し、排卵障害や男性化徴候(多毛、肥満、ニキビなど)が見られることがあります。

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インスリン抵抗性:2型糖尿病、耐糖能異常

インスリン抵抗性とは、インスリンの効き方が悪い状態ことを言います。人は糖質を摂取すると一時的に血糖値(グルコース)が上昇します。この血糖値の上昇に反応し膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンはグルコースの細胞内へを取り込みを促し、それを分解して、体内のエネルギーに変える働きをします。ところが通常と同じくらいのインスリンが分泌されても、インスリンの作用が悪いことがあり、その状態がインスリン抵抗性と呼ばれる状態です。

インスリン抵抗性を示すと、糖を分解するためにさらに膵臓からインスリンが分泌されるようになり、インスリンが過剰となり高インスリン血症と呼ばれる状態になります。インスリンの異常高値と血糖値の異常高値(耐糖能異常)が共に異常高値を示す状態を2型糖尿病といいます。

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エストロゲン:女性ホルモン

エストロゲン(卵胞ホルモン)とは、代表的な女性ホルモンで卵胞から分泌され、卵胞の成熟に伴って分泌が亢進し、子宮頚管粘液の分泌、子宮内膜の増殖などの変化を起こします。卵巣から分泌される同じような卵巣性ホルモンにプロゲステロン(黄体ホルモン)がありますが、これは排卵後に形成される黄体から主に分泌されるもので排卵がおこったことの指標になります。

エストロゲンにはエストロン、エストラジオール、エストリオールが3つがありますが、中でもエストラジオールが最も活性が強く、エストロゲン=エストラジオール(E2)とみなされます。エストロゲンは女性の皮膚のコラーゲンを増やし、骨のカルシウムを増やなどの作用もあり、女性の健康に欠かせないものです。

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黄体化ホルモン:LH、luteinized hormone

卵胞の成熟・排卵・黄体形成を促すホルモンのことです。脳下垂体から分泌され、卵胞刺激ホルモン(FSHと協力して働きます。

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黄体期

排卵から次の月経までの期間を黄体期と呼び、プロゲステロンが分泌され基礎体温は高温期を維持します。黄体期中頃に着床が起こります。

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黄体機能不全

黄体機能不全とは、黄体から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンの黄体ホルモン値が低く、着床のための子宮内膜状態が整わないことです。基礎体温を測ると高温期が通常に比べて少ないことが1番の特徴です。

排卵後の基礎体温の変化はプロゲステロンの分泌と関わっています。黄体の働きが悪く十分にホルモンが分泌がされないと、低温から高温への変化が少なく、また高温期の日数も少なくなります。

黄体機能不全の原因は、卵胞期に分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)が少量のため、あるいは黄体期に分泌されるプロゲステロンが少量のためと考えられます。

黄体機能不全の治療には、卵胞期にクロミフェン(クロミッドなど)を服用する方法と、黄体期に黄体ホルモン剤(デュファストン、HCGなど)を投与する方法があります。黄体機能不全ではしっかりと排卵、受精が行われても、内膜の状態が悪く妊娠の継続が難しくなります。(着床障害)

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黄体ホルモン(プロゲステロン:P)

排卵後に卵胞は黄体と呼ばれるものに変化します。この黄体から分泌されるホルモンのことで、子宮内膜を変化させ、受精卵を着床しやすい環境にするとともに、妊娠が成立した場合は妊娠維持をつかさどるホルモンです。

このホルモンが分泌されると基礎体温は上昇します。

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下垂体

下垂体とは、脳の中央にある指先くらいの大きさの組織。視床下部と同じようにいろいろなホルモンを分泌する。卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)分泌のための大切な働きをするところです。

月経周期が始まると、脳の司令塔「視床下部」から下垂体に働きかけて卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)の分泌が起こります。そしてFSHとLHが今度は卵巣に働きかけて、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が始まるのです。

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血中ホルモン値

月経をつかさどるホルモンは1つではなく、複数のホルモンが関与しています。ホルモン値は血液で調べることができます。

  • FSH…卵胞刺激ホルモン。脳下垂体から分泌され、卵胞の成長を促します。女性では排卵障害、男性では精巣機能障害を調べます。正常値(生理2日目~5日目)8~12mlU/ml以下です。
  • LH…黄体形成ホルモン。正常値10mlU/ml 以下
  • P4…プロゲステロン。黄体ホルモン。正常値(黄体期)10ng/ml 以上
  • E2…エストラジオール。エストロゲンの一種で、卵胞の成熟によってでてくるホルモン。このホルモンの測定によって、卵胞の発育、内膜の厚さ、頚管粘液量などが予測できます。
  • PRL…乳腺刺激ホルモン(プロラクチン)乳汁を分泌させるホルモンで、本来は分娩後授乳している時に分泌されます。妊娠を望む女性にプロラクチンの異常分泌が起こると、月経不順や排卵障害の原因となります。正常値13~15ng/ml以下
  • T3・T4・TSH…甲状腺ホルモン。甲状腺機能の異常によって、排卵障害や黄体形成不全を起こします。

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高アンドロゲン血症

高アンドロゲン血症とは、女性の体内でアンドロゲン(男性ホルモン)が必要以上に高値を示してしまう疾患です。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)では高アンドロゲン血症を伴う頻度が高く、多毛や肥満などの症状をもたらす原因とされています。

アンドロゲンには副腎皮質から分泌されるものと卵巣から分泌されるものがありますが、どちらの過剰分泌であっても排卵障害の原因となります。

アンドロゲン→テストステロン、アンドロステンジオン、DHAなど。

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高インスリン血症

高インスリン血症とは、血液中のインスリン濃度が慢性的に高値を示す疾患です。高インスリン血症が起こるとアンドロゲン(男性ホルモン)の分泌を増長させて、内分泌に異常をきたして排卵障害の原因となります。

高インスリン血症の原因としては、膵臓におけるインスリンの過剰生産、インスリン分解の遅延、標的臓器での作用の障害などがあげられます。

またインスリンが正常よりも効き目が少ない状態を「インスリン抵抗性」といい、不妊原因の1つ、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)では、高インスリン血症とインスリン抵抗性を伴うことが多いと報告されています。

高インスリン血症は糖尿病とも深い関わりがあり、インスリンの過剰な生産が糖尿病発症のきっかけとなることがあります。

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高LH血症

高LH血症とは、下垂体から分泌されるLH(黄体形成ホルモン)が高値を示す疾患です。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)では、同じく下垂体ホルモンのFSH(卵胞刺激ホルモン)が正常範囲内なのに対してLHの数値が高いことが特徴です。

高LH血症では、慢性的にLHが高いためにない分泌異常となり卵胞が育ちにくいといった排卵障害が起きやすくなります。また高LH血症では排卵するための「LHサージ」が得られない、といった問題も起こります。

LHとFSHの数値を調べるテストに「LH-RH試験」という検査法があります。

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視床下部

視床下部とは、脳の中央に位置して人間のあらゆる器官の働きや、ホルモンバランスを調節するところです。排卵は視床下部や下垂体から分泌されるホルモンが関わっています。

排卵までのホルモン分泌の順序は、まず視床下部から下垂体に性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が分泌されます。次にGnRHの刺激を受けた下垂体がFSHとLHの分泌を始めるのです。

そしてFSHとLHの刺激を受けて卵巣内の卵胞が発育、排卵、黄体形成、それに伴うエストロゲンやプロゲステロンの分泌が始まるのです。

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テストステロン(testosterone)

テストステロンとは、男性ホルモン(アンドロゲン)の一種で、元気な精子を作るのに重要な働きをします。テストステロンは睾丸(精巣)で分泌され、下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンと視床下部から分泌される黄体形成ホルモンにより調節されます。

またテストステロンは女性であっても、誰しが一定量は分泌されています。女性がPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)だと、男性ホルモンが過剰分泌されてしまい「高アンドロゲン血症」となり排卵障害の原因となることがあります。

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内分泌異常

内分泌異常とは、体をコントロールしている「ホルモンのバランス」が崩れてしまっている状態です。女性にとって深い関わりがある「月経」「妊娠」「出産」などは、すべて女性ホルモンによってコントロールされています。

すべてのホルモンをコントロールする場所は、左右の大脳に挟まれている間脳(視床下部)になります。月経と妊娠に関わるホルモンは、視床下部から下垂体、卵巣という順序を追って分泌されます。(参考図)

内分泌異常とは、これらの部位から正常にホルモン分泌が行われていない状態です。「どれか」のホルモンが通常の分泌量より多かったり少なかったりして、その関係の不調和がおこりホルモンバランスが崩れています。

内分泌異常は不妊原因となります。不妊検査の1つに「ホルモン検査」というものがあり、月経周期の卵胞期、排卵期、黄体期ごとに採血をして各ホルモンの数値を調べていくことで、内分泌異常がないかを調べます。

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脳下垂体

成長ホルモンや、甲状腺刺激ホルモンをはじめ様々なホルモンがここから分泌されています。

不妊症関係においては、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の2種類の性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)や乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)などが重要な役割を果たしています。

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プロラクチン(PRL)

乳汁の分泌を促進させる為のホルモンで、このホルモン値が高いと(高プロラクチン血症)月経不順や排卵障害を引き起こします。

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卵胞

卵巣内にある卵子の入っている袋のことをいいます。中は卵胞液という液で満たされています。排卵前には直径18~20mm程度の大きさにまで成長します。

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卵胞期

月経開始から排卵までの時期のことをいいます。基礎体温では低温期を示します。

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卵胞ホルモン(エストロゲン:E2)

卵胞周囲(顆粒膜細胞)から分泌されるホルモンで、子宮内膜を厚くし、頚管粘液を分泌する働きなどがあります。

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E2(エストラジオール)

E2(エストラジオール)とは、卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)のことです。エストラジオールは子宮内膜を肥厚させ、通りをよくする子宮頚管粘膜を分泌するなどの作用があります。エストラジオール(E2)=「エストロゲン」と呼ぶことも多いでしょう。

卵胞ホルモン(エストロゲン)にはエストロン、エストラジオール、エストリオールなどがありますが、エストラジオールが最も生理活性が高いホルモンです。排卵前にエストラジオール(E2)の数値を調べる事で、おおよその排卵日の予想がつきます。

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LH(黄体形成ホルモン)

黄体形成ホルモン(LH)とは、脳下垂体前葉から分泌されるホルモン。排卵直前になると急激に大量分泌され、この現象をLHサージといい、排卵検査薬を使い尿や血液で濃度を測定できます。

LHサージが起こると24~36時間後に排卵が起こります。医師によるタイミング法では、このLHサージと卵胞の大きさ、子宮内膜の厚さなどで排卵を予測するのです。なお不妊治療では排卵時にLHの代用として、「HCG」という注射を投与することがあります。

黄体形成ホルモンは糖たんぱくホルモンで、たんぱく質部分は204個のアミノ酸から形成されています。黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの2つ合わせたものを性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)と言います。

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生殖器官、卵巣、卵管、子宮

主席卵胞

主席卵胞とは、月経開始時に存在している卵巣内の「数個の卵胞」のうち、実際に排卵に向けて大きく成熟していく卵胞のことを言います。

月経が開始されると、卵胞の成長を助けるために脳からFSH(卵胞刺激ホルモン)というホルモンが分泌されます。卵巣内には数個の卵胞が存在していますが、このFSHに1番早く反応した卵胞が成長を始めます。

これこそが主席卵胞で、成長を始めた主席卵胞はエストロゲン(卵胞ホルモン)というホルモンを自ら分泌するようになります。このエストロゲンにはFSHを抑制する働きがあり、他の卵胞の発育を抑えて変性させてしまうのです。

そうすることによって主席卵胞は「視床下部-下垂体-卵巣」というホルモン分泌の関係を上手に保つようになります。そして自らは排卵に向けて、元気よく成長していくのです。

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卵巣

卵子の生成、成熟、排卵を行う生殖器官であり、また卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモン(プロゲステロン)などを分泌する内分泌器官でもあります。子宮の両側に対称的に存在しています。性成熟期の女性は一般的に28~30日に1回卵巣から排卵が起きます。

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正常妊娠、異常妊娠

子宮外妊娠

子宮腔以外のところに受精卵が着床してしまうことで、成長する胎児を支えるだけのスペースや栄養補給などの条件が整っていないため、妊娠継続は不可能です。

その大部分は卵管に妊娠していることが多く、全体の80%以上を占めます。これ以外にも卵巣や腹膜などにも起こりますが、頻度は少ないです。

薬物による治療と手術による治療法があります。母体に危険がおよぶ場合は、手術療法が第1選択となります。

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正期産

妊娠37週終了から42週終了までに認められる生児出産あるいは死産のことです。

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胎児

受精後8週を経て胎芽の時期を経過した産出物で、流産あるいは出産までの期間のものです。

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胎嚢

妊娠早期に子宮内に認められる液体を含む構造物で子宮内に存在していますが、子宮外妊娠のような場合には子宮外に存在します。

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超未熟児

1,000g未満の出産児をいいます。

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超未熟児出産

妊娠20週終了後から28週未満の生児出産あるいは死産のことです。

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低出生体重児

2,500g未満の生下時体重の児のことをいいます。

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月経異常、不正出血、月経関連事項

カウフマン療法

正常月経周期の性ホルモン状態に似た環境をつくり、周期的に出血を起こさせる治療のことで、卵胞ホルモン(エストロゲン)投与に続いて卵胞ホルモンと黄体ホルモンの双方を投与します。子宮内膜を整え、卵巣機能や卵胞の発育を良くする場合もあります。

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稀発月経

稀発月経とは、月経周期が39日以上のことをいいます。女性の月経周期は25~38日の範囲を正常と考えられていて、月経周期が24日以下と短いことを「頻発月経」といい39日以上と長いことを「稀発月経」と呼んで月経異常とされます。

また今までに1度でも生理があったのに、その後に3ヶ月(90日)以上も生理が来ないことを続発性無月経と呼ぶこともあります。いずれにせよ頻発月経、稀発月経、続発性無月経ともに無排卵のことが多く不妊原因となります。

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不育症

妊娠はするものの胎児が育たず、流産や早産を繰り返し生児が得られない場合をいいます。

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不正出血

不正出血とは月経以外の出血を言います。月経の前半や、排卵日、あるいは月経後半や仲良し後などの全ての出血を指します。不正出血は、婦人科系のトラブルやホルモンが関係してる事も多く、体からのシグナルとも言われています。

不正出血にはいくつかの原因が考えられますが、ただちに何かのトラブルとは限りません。月経周期や妊娠と深い関係があるため、自己判断はしないで医師に判断を仰ぎ、原因をよく見極めていくことが大切です。

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ホルモン療法

偽妊娠療法

偽妊娠療法とは、人工的に妊娠してる状態をつくり月経をなくす方法です。偽妊娠療法は主に子宮内膜症の治療として行われます。

妊娠中は生理が起こらないことが特徴ですが、「偽妊娠療法」ではそれと同じような状態を作りだします。子宮内膜症では毎月の月経がその症状を悪化させる1つの原因となっています。

そこでエストロゲンとプロゲステロンの混合剤(ピル)を飲み続けることで妊娠したような状態を作り出します。そうすることで生理痛、排便痛などの痛みを抑える効果を期待します。しかし偽妊娠療法は病巣の活動を抑制するもので、根治するものではありません。

また偽妊娠療法を長期にわたって治療を続けることで、副作用を伴うことがあります。そこで現在では「偽閉経療法」という別の方法が一般的な治療法です。

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ゲスターゲン療法(Holmstrom)

ゲスターゲン療法とは、「ゲスターゲン剤」を投与することによって、その後の数日の間に人為的に生理を起こさせる治療法です。「注射法」と「経口投与法」とがありますが、一般的には経口のゲスターゲン剤を処方されることが多いようです。

妊娠を望んでいない「無排卵性月経」の人への治療法で、定期的に消退出血を起こすことで通常と同じような月経サイクルを作り出します。

ゲスターゲン剤(プロベラ、ヒスロン、デュファストン、ルトラール、ノアルテン、プリモルトN、ゲスタノン)5~10mgを、5~7日に連続で服用します。そして消退出血が起これば、以降21~23日目から同じようにゲスターゲン剤を5~7日に連続で服用していきます。

妊娠を望んでいる場合でも、排卵が起こらなかった周期に強制的にリセットさせる方法で、ゲスターゲン療法が使われることがあります。

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ホルモン療法

不妊においてのホルモン療法とは、ホルモン剤を月経周期に合わせて投与することによって「妊娠するための体(通常の月経周期)」に近づけていこうとする治療法です。内分泌療法、ホルモン補充療法などとも呼ばれます。

月経周期を整えることを目的に、また排卵をしっかりと起こさせるために、「排卵誘発剤」「黄体ホルモン剤」「ゲスターゲン剤(一般的にピルと呼ばれる薬)」など、その人の症状にあわせたホルモン剤が使われます

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性生活、性機能

性機能障害

性機能障害とは、ED(勃起不全)、性交障害、射精障害など性交がうまくできないことを指します。性機能障害は近年増え続けている不妊原因です。

女性が不妊治療を始めることをきっかけに、男性が性機能障害になることがあります。排卵日を狙った義務的な性交が精神的な余裕をなくして、結局は性交できなかったり腟内に射精できなかったりします。

不妊の隠れた原因と言われる性機能障害は最近になって増え続け、特にEDは性機能障害の中でも70%を占めると言われています。

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患者支援/法規制/ガイドライン

カウンセリング/心理/支援/情報開示

セカンドオピニオン

セカンドオピニオンとは、主治医の治療法や方針に対して、他の医師の意見を求めることです。医師によってさまざまな考えを持っているのが現状で、セカンドオピニオンを求めることによって治療をしていく上での選択の幅が広がります。

もし医師との信頼関係が欠けると治療に発展性がありません。こんな状態では時間を無駄にすることが多く、セカンドオピニオンをすることで状況が打開されることがあります。

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その他/一般

その他/一般

卵巣茎捻転

卵巣の血流を障害し、時には卵巣組織の壊死をもたらす可能性のある卵巣の血管を含む頚部の部分的あるいは完全な捻転を卵巣茎捻転と呼びます。

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